“曇りのない”ブラックホールを発見

2010.03.19
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大量の星からなる発達中の銀河の中心で見つかったブラックホール(想像図)。

Illustration by ASA/JPL-Caltech
 恒星や銀河が誕生する仕組みの解明に繋がるかもしれないという太古の超大質量ブラックホールのペアが発見された。これはクエーサーと呼ばれる特殊な天体に分類されるもので、これまで確認された中で初めての、ちりの雲に遮られずに観測できる“一点の曇りもない”クエーサーだという。 クエーサーは銀河の中心部に位置し、その質量は巨大な恒星の死滅後にできる恒星質量ブラックホールの数千倍から数百万倍である。またクエーサーは大量の光を放出するため、観測可能な宇宙の一番遠い端からでもその姿を確認することができる。可視宇宙の端から地球に光が届くまでには数百億年かかるため、届いた光のデータをもとに、地球に届くまでに要した月日を遡った研究が可能となる。

 アメリカのコロラド州ボルダーにある宇宙科学研究所の天文学者で研究の共著者であるディーン・ハインズ氏によると、ほとんどのクエーサーはビッグバンから10億年以内に誕生したもので、通常はドーナツ型のちりとガスの雲がその周りを取り巻いているため観測が困難だという。

 クエーサーJ0005-0006とJ0303-0019の存在は以前から理論的に予言されていたが、ごく最近になってNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡の赤外線観測によって実際に存在が確認された。

 銀河進化論によると、クエーサーが誕生したばかりの段階では銀河内部の恒星が十分に成長していないため、未発達のクエーサーの周囲には“ちり”が存在しないはずだとハインズ氏は説明する。また、原始宇宙にはちりの形成に必要な分子も含まれていなかったと考えられる。

 事実、スピッツァー宇宙望遠鏡はクエーサーのちりの雲を独自の赤外線信号として記録するが、今回発見されたブラックホールからはその信号は見つかっていない。

「この2つのクエーサーにちりが存在しないということは、私たちの理論が破綻していないということだ」とハインズ氏は話す。「初期の宇宙のクエーサーすべてがちりに覆われていたのならば、この理論で説明するのは困難だ」。

 この研究は2010年3月18日発行の「Nature」誌に掲載されている。

Illustration by ASA/JPL-Caltech

文=Ker Than

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