先史時代の巨大“カンガルー”は人間に狩られて滅亡していた

2008.08.13
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先史時代に生きていた「Palorchestes azael(パロルケステスアザール)」という地上を歩くナマケモノのような有袋類。体重は500キロに及んだと考えられている。この動物は、タスマニア島で4万年前に人間の狩猟活動によって絶滅に追い込まれた数種の巨大動物の1種だと新しい研究で明らかになった。

 タスマニア島の巨大動物は人類の到達以前、氷河期の時代に絶滅したと考えられてきたが、2008年8月に発表された研究では、これまでの学説を覆す結果が得られた。

Illustration by Peter Schouten; copyright Peter Schouten
 4万年以上前のタスマニア島で巨大“カンガルー”などの大型有袋類が絶滅したのは、気候変動のためではなく人間のせいだった。 今回発表された研究では、これまでの予想に反して「Protemnon anak(プロテムノンアナク)」というカンガルーに似た首の長い草食動物が、少なくとも4万1000年前までタスマニア島に生存していたことが判明した。この動物はこの島に初めて人類が定着したといわれる時期から、最大で2000年後まで生きていたことになる。洞窟探検家らが偶然発見した化石などを対象として、放射性炭素やルミネセンス法による年代測定を行ったところ、このような結果が得られたという。

 これまでの研究では、4万3000年前に人間が当時、陸続きだった道を渡ってタスマニア島にたどり着いたときには、この島の大型動物は既に絶滅していたと結論付けられていた。そして、絶滅の原因は最後の氷河期を含む気候の変動にあったとされていた。具体的な時期こそ特定されていないものの、先史時代のタスマニア島ではこのほかにも6種類の動物が気候の変動を乗り越え、人間がこの島に到達したと考えられている時期まで生き延びていた可能性があることが明らかになった。

 研究チームメンバーで、オーストラリアにあるマコーリー大学のティム・フラナリー氏によると、この6種は「体重100キロにも及ぶ3種のカンガルーをはじめ、50~100キロはあったと思われるヒョウに似た有袋類、数百~500キロに及んだとみられる地上を歩くナマケモノのような有袋類、そして500キロ程度はあったと考えられるカバやバクに似た有袋類」だという。

 また、同氏によると「タスマニア島は当時、現在のオーストラリア本島ビクトリア州に似た気候で、オーストラリア本島では人類が最初に定住した直後の4万6000年前には巨大動物の90%が絶滅していた」ことも今回の研究で分かった。そして「3000年後、ビクトリア州とタスマニア島の間にあるバス海峡が干上がり、陸続きになって人々が渡れるようになると、タスマニア島でも同じように巨大動物が絶滅した」という。

「大型の動物がいなくなるのは、いわばその場所に人間が到達した証しだ」と同氏は述べ、同様の現象が起こった別の場所を例に挙げた。「アメリカ大陸では1万3000年前、マダガスカルでは2000年前、ニュージーランドでは1000年前に同じようなことが起きている。カリブ諸島では大陸で絶滅した巨大なナマケモノが6000~8000年後まで生き延びていたが、それはその時点まで人々が島に渡っていなかったからだ。タスマニア島のケースもこの類だと今回の研究で分かった」。

 同氏の話では「研究の結果、こうした絶滅が1000年にも満たない短期間で起こった可能性が示された」という。「絶滅の原因になった狩猟でどのような道具が使われたのかは分からないが、絶滅した動物は人間を脅威として認識していなかった可能性が高い。おそらくは木製の槍やこん棒程度の武器があれば殺せたのではないか」と同氏は語っている。

 オーストラリアのフリンダース大学で古生物学を専攻するギャビン・プリドー氏は、アボリジニ(オーストラリア先住民)は5000~6000年前まで石槍は使っていなかったが、火を使ってオーストラリアの硬材をさらに硬くし、強力な槍を作っていたことが分かっていると述べている。「これは、タスマニアで何が起こったのかを理解する最初の大きな一歩だ」。

 しかし、巨大なカンガルーのようなプロテムノンが人間と同時期に生存していたことが確実に示されただけにすぎないという。プリドー氏は、「タスマニアでの調査はまだわずかしか行われていないため、さらに多くの巨大動物の化石が見つかる可能性が高いとし、そうした化石を見つけ、全体像を描き出す必要がある」と付け加えた。

Illustration by Peter Schouten; copyright Peter Schouten

文=Dave Hansford in Wellington, New Zealand

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