米、夏時間スタート:その起源と効果

2010.03.16
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
マサチューセッツ州に本社を置く時計メーカー、エレクトリックタイム(Electric Time)社で大型の時計の最終調整をする作業員(資料写真)。

Photograph by Michael Fein, Bloomberg, Getty Images
 アメリカ合衆国の大部分の地域で、現地時間の3月14日午前2時から夏時間が始まった。アメリカではなぜ春になると時計を1時間進めるようになったのだろうか。 一般的な認識とは異なり、連邦法は夏時間の順守を州や領に義務付けてはいない。

 ほとんどのアメリカ人は春に時計の針を1時間進め、秋になると1時間戻している。だが、アリゾナ州の大部分、ハワイ、アメリカ領のプエルト・リコとサモア、バージン諸島の住民は夏時間を採用していない。彼らは一年中、現地時間帯の標準時で生活している。

 夏時間に関する連邦法が最初に可決されたのは1918年。そして2005年の法改正が2007年に施行された。現在は、夏時間に従う地域は3月の第2日曜日午前2時に開始し、11月の第1日曜日午前2時に標準時に戻さなければならないと規定されている。

◆夏時間の始まり

 ワシントンD.C.にあるアメリカ海軍天文台は、原子時計を管理してアメリカの標準時を設定しているが、夏時間の調整にはまったく関与していない。

 もともと夏時間制度の主管は州際通商委員会(ICC)だったが、連邦議会は1966年にその仕事を新設されたばかりの運輸省に移管した。連邦議会は運輸省に対して、「各標準時間帯内の全域にわたって同じ標準時を広く統一的に導入および順守し、促進および発展させる」よう命じた。

 なぜ運輸省が時間に関する法律の管理を任されたのか。それはアメリカの鉄道が全盛期を迎えた1900年前後にさかのぼる話だという。

 アメリカ運輸省の広報担当者ビル・モーズリー氏は次のように話す。「19世紀初めごろは各地方が独自に時間を定めており、さまざまな時間帯や利用法が入り乱れていた。だが鉄道が普及すると、時刻表を発行するために時間の標準化が必要になった」。

 1883年、アメリカの鉄道業界は正式な時間帯を制定し、それに従って地域ごとに標準時を定めた。ついには連邦議会が乗り出し、1918年、鉄道の時間帯制度を法律として成立させたという。

 その当時、連邦の監督機関はICCしかなかったため、連邦議会は同機関に時間帯の管理と将来必要になった場合の改正に関する権限を与えた。

 1918年当時の法律では夏時間の全国的な導入も制定されていたが、その条項は次の年に撤回された。以降、夏時間は地方の管轄に委ねられることになったのである。

 そして1966年、連邦議会は「統一時間法(Uniform Time Act)」を可決した。この法律で夏時間の開始日と終了日が統一されたが、州議会で法案が通ればその自治体は夏時間を使用しなくてもよいことになった。

 1986年の改正では開始日が4月の最終日曜日から第1日曜日に移動されるなど、現在につながる主だった改正が加えられ、さらに2005年には、連邦議会で期間の1ヶ月延長が検討された。

◆夏時間 = 日没までの日照時間が増える

「期間延長が検討されたのは、ほとんどの人が起きて活動している時間帯に日中の時間を合わせるためだった」とモーズリー氏は言う。

 夏時間に移行すると日の出と日没時刻が後ろに1時間ずれるため、太陽が照らす午前は短くなり、午後の日没までの時間は長くなる。

 だが、夏時間はだれもが恩恵を受けるわけではない。農家など日の出前から就労する人々は、起床時間を遅らせないと夜明けまでの時間が長くなり暗い中での作業が増えるためだ。

 2007年には省エネルギーのために夏時間の期間延長が実施されたが、成果は挙がらないだろうと指摘する専門家もいる。夜間の電力利用が減って省エネルギーにつながったとしても、日の出前の電気使用量が増えるので、結局は相殺されてしまうというのだ。

「それでも、夏時間には多くの利点がある。日中の時間が増えれば、交通事故の件数や死亡者数、犯罪が減るという調査結果もある」とモーズリー氏は話している。

Photograph by Michael Fein, Bloomberg, Getty Images
  • このエントリーをはてなブックマークに追加