大噴火が引き起こした地球寒冷化と社会不安

2008.04.29
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ペルー南部のワイナプチナ火山の衛星写真(2006年5月8日)。 新しい研究によれば、1600年に起きたこの火山の噴火は、短い期間ではあるが地球全体の寒冷化をもたらし、世界中の社会を動揺させたという。

Image courtesy Jet Propulsion Laboratory
 1600年にペルーで発生した火山の大噴火が地球に短期的な寒冷化をもたらし、世界が混乱に陥ったという新しい研究結果が発表された。 その火山はペルー南部のワイナプチナ山で、その噴火の規模は南アメリカで最大と考えられている。この噴火によって大気圏の上層部に放出された硫黄が太陽光をさえぎって日照量が減少したため、地球の寒冷化が1年にわたって続いた。その結果、ヨーロッパとアジアは厳しい寒さに見舞われたのだという。

 研究論文の著者の1人であるカルフォルニア大学のジェーク・リップマン氏は、1601年当時の記録を洗い直した結果、関連性があると思われる一連の出来事を発見した。ロシアでは厳冬によって凶作と社会不安によって帝位の交代が起こっていた。また、スウェーデンは冬の記録的な降雪により、春になって洪水と不作が発生し、飢餓と病気に苦しんだ。さらに、1601年にはワイン生産が世界的に壊滅状態に陥っていた。

 リップマンの研究について、ワイナプチナ山の噴火が社会経済に与えた影響を調査研究してきたオレゴン州立大学の地質学教授、シャナカ・デ・シルバは「リップマン氏の研究は実際の噴火ではなく世界への影響に焦点を当てており、独自のデータに基づいて気候上の影響を論証している。私の見解もまったく同じだ」と話す。

 また、カリフォルニア大学の地質学教授、ケネス・ベロサブ氏は「この研究が正しければ、寒冷化を引き起こしたが記録に残されていない火山活動がほかにも存在する可能性がある。それを証明したとまでは言えないが、さらに深く調べる価値があることは示した」とコメントしている。

Image courtesy Jet Propulsion Laboratory

文=Kimberly Johnson

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