アメリカムラサキウニのクローズアップ写真。

Photograph courtesy Sonke Johnsen, Duke University
 ウニの視覚に関する新たな研究で、ウニはトゲに覆われた体全体が1つの眼のような働きをすることが確認された。近い種であるヒトデと同様、ウニには眼の機能を持つ器官はない。球状の無脊椎動物であるウニは、トゲに当たる光を感知し、その光の強度を比較して周囲の状況を知るという。 ウニの視覚的能力を調査するために、デューク大学のソンク・ヨンセン氏らは、野生のアメリカムラサキウニ(学名:Strongylocentrotus purpuratus)20匹を捕獲し、2種類の黒い円盤に対する反応を試験した。

 明るい照明が当たる海水のみの水槽にウニを1匹ずつ入れ、まず6センチ幅の円盤1枚、次に10センチ幅の円盤1枚をウニから50センチ離して置いた。

「ウニはまったく扱いにくかった。中には高速道路で車のヘッドライトに照らされても微動だにしないシカのようにまったく動こうとしないものもいて、まるでシカがトゲトゲのボールになったみたいだった。だがウニにとっては、SFドラマに出てきそうな周囲が壁だけのやたら明るい部屋に閉じ込められたような状況なのかもしれない」とヨンセン氏は説明している。

 実験の結果、小さい方の円盤を気に留めるウニはまったくなかった。しかし大きい方の円盤に対しては反応が2つに分かれ、逃げるように遠ざかるウニもいれば近寄ってくるウニもいた。

 なぜ大きい方の円盤に対して異なる反応をしたのかは分からないが、おそらく天敵か餌物どちらの影なのか判断が分かれたためと推測される。いずれにしてもアメリカムラサキウニなどトゲの密度の濃いウニの“視界”にも限界があることを示す行動だという。ほかの種で実験を進めていけば、ウニの“視力”におけるトゲの密度の役割を解明できる可能性もあるという。

 実際には眼を持たないウニだが、その視覚的能力はオウムガイやカブトガニなど眼を持つ海生の無脊柱動物に近いことも、今回の実験の結果から示唆されている。

Photograph courtesy Sonke Johnsen, Duke University

文=Matt Kaplan