最も地球に似た系外惑星はスーパーイオ

2010.02.08
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宇宙探査機ボイジャー1号が撮影した木星の火山性衛星イオ。

Image courtesy NASA/JPL
最も地球に似ているとされる系外惑星CoRoT-7bは、地球よりも木星の火山性衛星イオに似ていることが判明。

 溶岩の海が沸々と煮えたぎり、空からは熱い小石の雨が降り注ぐ。いっかくじゅう座の系外惑星CoRoT-7bのイメージは苛烈だが、実は太陽系外で発見された天体で最も地球に似ているらしい。ただし、地球を持ち出すのは適切ではないという。最新の研究によると、CoRoT-7bは系外惑星の新カテゴリー「スーパーイオ」に属する最初の天体だと論じている。 研究チームの一員でアメリカのワシントン州シアトルにあるワシントン大学のローリー・バーンズ氏は、「木星の衛星イオと同様、CoRoT-7bは潮汐加熱が発生する軌道に位置している可能性が高い」と話す。

 イオの地殻は、木星の重力の影響で常にその形を変えている。その結果、発生した潮汐加熱で内部温度は上昇し、地表では数百の火山が活発に活動している。「CoRoT-7bも同じような状況と考えられる」とバーンズ氏は話す。

 ただし、衛星のイオとは異なり、CoRoT-7bは恒星のすぐ近くで公転しているため、熱源は潮汐力だけではない。これまでの観測結果から、CoRoT-7bの表面温度は摂氏1000~1500度であると判明している。

 バーンズ氏は、「これほど熱ければ、マグマの池、さらにはマグマの海さえも存在するはずだ」と話す。また、CoRoT-7bは潮汐固定(重力の影響で自転周期と公転周期が同期すること)が起きていると知られており、常に同じ面を恒星に向けている。

「CoRoT-7bの“裏側”では火山活動が起きている可能性がある。つまり、表面の片側はドロドロに溶けていて、裏側は火山が激しく噴火しているという状態かもしれない」。

 CoRoT-7bは、フランス主導で2006年に打ち上げられた太陽系外惑星探査衛星COROTが2009年に発見した。COROTは、恒星を公転する天体が中心の恒星の手前を通過(トランジット)する際に、恒星の光が定期的に減少する変化を検知する。

 2009年2月、CoRoT-7bの発見は、太陽型恒星を公転する最小の系外惑星として大いに話題を呼んだ。トランジットの分析結果から導き出したCoRoT-7bの直径は、地球のおよそ2倍と判明した。地球の直径は約1万2756キロで、イオの約3.5倍である。その後、質量と密度からこの惑星は岩石型と確認された。このような特徴から、CoRoT-7bは「スーパーアース(巨大地球型惑星)」の一員とみなされるようになった。

「スーパーアース」というのは非公式な天文学用語の1つで、「ホット・ジュピター(熱い木星)」や「スーパーネプチューン(巨大海王星型惑星)」などと同様、系外惑星を太陽系の惑星になぞらえて分類するために使用される。

 バーンズ氏の研究チームは、CoRoT-7bの大きさや質量、中心の恒星との距離、隣接する姉妹惑星CoRoT-7cとの相互作用などに基づいて、CoRoT-7bの推定軌道を解析した。研究成果は、先月アメリカのワシントンD.C.で開催されたアメリカ天文学会の第215回会合で報告されている。

 研究によると、CoRoT-7bの公転軌道は完全な円ではないため、潮汐加熱が生じ火山群が形成されているはずだという。そのため、この惑星は地球型というよりも“イオ型”と呼ぶ方がふさわしいと論じている。

「第一に、大質量の木星の近くを公転するイオと同様、CoRoT-7bは主星との距離が非常に近いため、重力の影響が著しく大きい」とバーンズ氏は話す。

 さらに、イオもCoRoT-7bも潮汐固定されている。イオの場合、常に同じ面を木星に向けており、木星の重力でかなり強く引っ張られる。球形がわずかに引き延ばされて中央付近が膨らんでいる。

 また、隣接するほかの木星衛星との相互作用により、イオの軌道は不規則な楕円を描く。そのため、木星との距離が時の経過とともに変化する。木星に接近すると引き延ばされ、離れると球形に近くなる。このような膨張・収縮の繰り返しで摩擦熱が生じる。

 現段階では、CoRoT-7bは地球から490光年も先にあるため、最新技術と望遠鏡を駆使しても正確に軌道を追うことはできない。したがって、本当にイオそっくりなのかは依然として確証がない。

 それでも、今回の研究成果に賛同する専門家は多い。アメリカのカリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所(JPL)の惑星科学者ロザリー・ロペス氏は次のように話す。「今回の研究成果には十分な論拠がある。1979年に発見されたイオの火山活動の場合も、まず潮汐加熱に基づく予想研究があって、その直後に宇宙探査機ボイジャーが実際に火山プルーム(噴煙)を観測している」。

 かつてイオの火山活動を予測した研究チームを率い、現在はアメリカのカリフォルニア大学サンタバーバラ校の名誉教授であるスタン・ピール氏も、「今回の結論は妥当なものだ」と同意する。「CoRoT-7bは近くに姉妹惑星があるので、その影響で大きく軌道が変化し、内部に熱が生まれ、スーパーイオと呼べる状態になっている可能性がある。イオと同じように、惑星表面では活発に火山が活動しているだろう」。

 CoRoT-7bの活火山を検証するのは難しいが、研究チームのバーンズ氏は、「スピッツァー宇宙望遠鏡のような宇宙望遠鏡なら、CoRoT-7b表面の火山から立ち昇るガスを観測できるかもしれない」と話す。

「COROTや2009年に打ち上げられたケプラー宇宙望遠鏡など、進行中のプラネット・ハンティング(系外惑星探し)の目が天空奥深くまで到達するようになれば、CoRoT-7bと同じような高熱の岩石型惑星が数千単位で姿を現し始めるだろう。スーパーイオの発見は、本当のスーパーアースを見つけるための足掛かりとなる」。

Image courtesy NASA/JPL

文=Victoria Jaggard

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