クレオパトラの化粧は感染予防に効果?

2010.01.14
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古代エジプトの女王ハトシェプストの彩色像(石灰岩)。カイロのエジプト考古学博物館所蔵。

Photograph by Kenneth Garrett, National Geographic Stock
 クレオパトラなど古代エジプトの人々がまぶたに施していた、現代の“スモーキーアイ”にも似た魅惑的な化粧は、異性を引き付けるだけでなく目の感染症の予防にも役立っていたとする研究が発表された。 古代エジプトの文物を見ると、当時は男女問わず奴隷から女王まですべての人が黒と緑の粉を目の周りに厚く塗っていたことがわかる。「人々は毎日このような化粧をしていた」と研究の共著者クリスチャン・アマトーレ氏は話す。同氏はフランスのパリにあるピエール&マリー・キュリー大学(パリ第6大学)に所属している。

 古代エジプトの写本によると、この目の化粧には呪術的な力があり、この化粧をすればホルス神とラー神が色々な病気から守ってくれると信じられていたという。例えば結膜炎のような目の細菌感染症がナイル川の熱帯湿地沿いで広がっていたのかもしれない。

 しかし、以前の化学的分析では、古代の化粧箱から採取された粉末の残留物から鉛を主成分とする4つの化合物が検出されている。鉛は人間にとって極めて有毒なため、分析結果はこの化粧が有害であることを示しているようにも思える。

 ところが今回の研究では、この化粧に含まれる鉛塩には、少量ならば実際には良い効果もある可能性があることがわかった。鉛塩が皮膚に触れると体内の一酸化窒素の生成量が増えるのである。

 一酸化窒素は免疫系を刺激し病原菌の撃退に役立つことが知られている。古代エジプトの化粧に含まれる鉛化合物の量から、この化粧を塗った人の細胞内の一酸化窒素の量が240%増加していたことが明らかになった。

 アマトーレ氏は次のように推測する。「この4つの化合物のうち2つは自然界に存在しないもので、当時は人工的に作るために大変な作業を30日間も続ける必要があったはずだ。古代エジプト人は、これらの化合物が健康に良いと知ったうえで作っていたと私は考えている」。

 この研究は2010年1月15日発行の「Analytical Chemistry」誌に掲載されている。

Photograph by Kenneth Garrett, National Geographic Stock

文=Kate Ravilious

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