恐竜の適応力の秘密は肺の構造に

2010.01.14
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アメリカアリゲーターの側面と背面のCTスキャン画像。立体的に着色されているのが気道にあたる部分。

Image courtesy C. G. Farmer
 恐竜が初期の哺乳類を生存競争で圧倒したのは、肺の機能が優れていたことが原因であるとする研究が発表された。恐竜と共通の祖先を持つ現生のアリゲーターを研究したところ、鳥類と同様の高い効率の呼吸法を用いていることがわかった。 哺乳類の場合、息を吸うたびに酸素を豊富に含んだ空気が肺胞と呼ばれる肺の中の“袋”に運ばれる。肺胞を空気が循環することで酸素が血流に運ばれ、血液中の不要な二酸化炭素が取り出される。

 ところが鳥類には肺胞がなく、空気は気嚢に一方通行で流れ込むように進化している。そのため鳥の肺は常に“新鮮な”空気で満たされる。他の動物なら死んでしまうような高い場所でも鳥が呼吸できるのはこのためだ。

 今回の研究ではアリゲーターの呼吸法を解明するために、死んだアメリカアリゲーターの肺に液体を注入し、空気が流れる方向を調べた。その結果、鳥類と同様に、吸った空気が体内に流れ込むときには特定の気管支の層を迂回し、吐き出される時に初めてこれらの気管支を通ることがわかった。

 このような呼吸法は、2億5100万~1億9900万年前の三畳紀に生息した、鳥類と恐竜とアリゲーターの共通の祖先にも見られた可能性が高い。鳥類と恐竜とアリゲーターは同じ主竜類に分類され、また三畳紀初期には大気中の酸素が現在よりも希薄だった。

 今回の研究を率いたユタ大学の進化生物学者C.G.ファーマー氏は次のように話す。「鳥類が希薄な大気中でも動き回れる一因が、この肺構造にあることがわかっている。今回の研究データを見ると、酸素が希薄な当時の世界では主竜類が有利だったと思われる」。

 また恐竜の高度な適応性は、6500万年前に恐竜が大量絶滅するまで哺乳類が小型だったことの説明にもなるという。「哺乳類は主竜類に抑圧されて小型化を余儀なくされたようなものだ」。

 この研究は2010年1月15日発行の「Science」誌に掲載されている。

Image courtesy C. G. Farmer

文=Rachel Kaufman

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