イエローストーンの火山パワーは超巨大

2009.12.15
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新たに作成されたイエローストーンの地下の3Dモデル。幅72キロ、深さ660キロの熱い溶岩のプルームが“超巨大火山(スーパーボルケーノ)”の地下で上昇している。

Image courtesy University of Utah
 アメリカ、イエローストーン国立公園は世界最大級の火山地帯であり、中には想像を絶するパワーを持つ“超巨大火山(スーパーボルケーノ)”と呼ばれるものも存在する。これら火山の地下深くにある巨大な溶岩流の柱が、予想以上の深さを持ち、推定より20%大きいマグマ溜まりが形成されていることがわかった。 マグマ溜まりには、将来起こりうる“巨大噴火”のエネルギー源が予想以上に蓄積されていることが示された。その新しいモデルによると、深さ660キロメートル以上の地下から、“プルーム”と呼ばれる幅72キロの熱い溶岩の上昇流が存在しているという。

 プルームの最深部はモンタナ州のウィズダムという街の真下にある。イエローストーン国立公園から約241キロ離れた位置だ。しかし、上部マントルでは高温の岩石が一定方向に流れているため、プルームは南東に押し流される。その終着点がイエローストーンの真下、深さ5.9~16キロの地下にあるマグマ溜まりなのである。

「とはいえ噴火が目前に迫っているわけではない」。こう話すのはソルトレークシティにあるユタ大学の地球物理学者で、今回の研究を率いたロバート・スミス氏だ。

「このプルームはイエローストーンの火山のエネルギー源だが、大噴火の可能性を示唆するものではない」と同氏は強調する。

 イエローストーンは火山噴火が頻発する地域であり、過去200万年間に、約70万年間隔で3度の超巨大噴火を起こしていたことは知られていた。

「それらはとてつもなく激しい噴火だったはずだ。我々が経験した噴火の1000倍ほどはあっただろう」とイギリス、オープン・ユニバーシティで火山学を研究するスティーブン・セルフ氏は言う。

 同氏は2009年10月に行われたアメリカ地質学会(GSA)の会合で、「過去に発生したような巨大噴火が起きれば、少なくとも360立方キロメートルの玄武岩が生成される」と発言している。ワシントンD.C.全体が厚さ2200メートル近くの溶岩で覆い尽くされるほどの規模だ。

 ただし繰り返しになるが、そうした規模の噴火はめったに起きないので安心して欲しい。

 セルフ氏はナショナルジオグラフィック ニュースに、「噴火と噴火の間には熟成期間のようなインターバルがある。それは人間のライフサイクルから見ればとてつもなく長い期間だ。われわれが生きているうちは、噴火の前兆すら目撃できないだろうと確信している」と話している。

 そもそも噴火には、マグマの流動性が比較的高く、ガスを多量に含んでいる必要があるという。諸条件がそろわない限り、マグマはどこにも行かない。しばらくそのまま留まるか、せいぜい小さな噴火を起こす程度だろう。「それならイエローストーンのようなカルデラは何度も経験済みだ」とセルフ氏は説明する。

 今回の研究を率いたスミス氏も同意見だ。1980年のセント・へレンズ山や1991年のピナトゥボ山と同程度のスケールなら、イエローストーンでは数万年ごとに噴火しているという。「そうした噴火は起きる可能性ははるかに高いが、規模もはるかに小さい」と同氏は話す。

 スミス氏の研究チームは、長年にわたりイエローストーンのカルデラを調べてきた。かつてないほど高感度な機器を使い、噴火をはじめとするあらゆる火山活動の引き金となっているマグマの源を突き止めようとした。

 今回作成されたプルームのモデルは、主に超高感度の地震計から得たデータがベースとなっている。地震計はイエローストーン一帯に、全長644キロにわたって設置された。

 12月14日からサンフランシスコで開催されているアメリカ地球物理学連合の秋季集会で、チームの取り組みを発表するスミス氏は次のように話す。「地震計のネットワークはアンテナのように機能する。受信する地震波に耳を澄ましているのだ。地球の内部から発生する地震波を検知するには、広い範囲にくまなくアンテナを張り巡らした方がよい」。

 大噴火以外にも、同氏は今回の研究の最も素晴らしい点として、イエローストーンの有名な間欠泉の熱源を非常に深い地下まで追跡できることを挙げている。研究結果は「Journal of Volcanology and Geothermal Research」誌の最新号に掲載されている。

 さらに高感度の機器を使用すれば、マグマの源がさらに深部にあることが判明するかもしれないとスミス氏は考えている。

「最終的には、間欠泉が下部マントルまでつながっている可能性もある。そうなれば、地下750キロ以上の深さということになる」。

Image courtesy University of Utah

文=Richard A. Lovett in San Francisco

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