ココナツの殻を運ぶ知能の高いタコ

2009.12.14
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ココナツの殻に隠れるメジロダコ(撮影日不明)。

Photograph courtesy Roger Steene
 あるタコが半分に割れたココナツの殻を体の下側に吸い付け、つま先で歩くところが確認された。そのあと2つの殻を組み合わせて中に隠れるのだが、体を保護するためか、天敵をだますための行動とみられている。 インドネシア沖でタコの変わった習性を発見した今回の共同研究者、生物学者マーク・ノーマン氏は次のように話す。「本当にびっくりしたよ。笑いをこらえきれず、マスクの中が海水であふれてしまった」。

 このタコはメジロダコ(学名:Amphioctopus marginatus)という種で、ココナツを運ぶことによって高等動物の仲間入りを果たした。このように道具を使う例は、無脊椎(せきつい)動物としては初の快挙だという。

 オーストラリア、メルボルンにあるビクトリア博物館の生物学者ジュリアン・フィン氏が率いる研究チームは、20匹のメジロダコを定期的に観察していた。横幅8センチ程度の自分の体より大きいココナツの殻を、長さ約15センチの触手で運んでいるところが何度も確認されたという。あるメジロダコは半分に割れた2枚のココナツの殻を掘り起こし、隠れ場所が無かったり海底の堆積物の中で休むときに中に入って身を守っていた。

 研究チームが驚いたのは殻を出た後の行動だ。このタコは、体の真下に殻を上手に収めて持ち歩き始めたのだ。ビクトリア博物館の主任学芸員として軟体動物を担当する前出のノーマン氏は、「タコの能力にはいつも感心させられるが、今回はさすがに奇妙だった」と振り返る。

「ココナツの殻を運ぶには、殻の縁を覆うように触手を広げてから竹馬を操るように歩かなければならない。これではむしろ捕食者に襲われやすい」と前出のフィン氏は説明する。

「身一つなら持ち前の“ジェット噴射”でかなり速く泳げるだろう。だが、果てしない泥の海底には逃げる場所などない」とフィン氏は話す。ただし自分で隠れ家を運んでいれば話は別だ。

 多くのタコは高い知能を備えていることでよく知られている。迷路に迷い込んでも、まるで抜け目のない牢破りが通って来た道を覚えているかのように振る舞うのだ。

 かつては人間だけの特権と考えられていたが、動物も道具を使用するとなればその高度な知能は否定できない。例えばチンパンジーは自ら道具を作って使用するし、一部のイルカは海綿をくわえて魚を捕る。カラスは棒や葉を使って虫の気を引く。

 それでも、今回の発見は際立っている。

「イカやタコなどの頭足類が道具を使うなんて考えもしていなかった」と、生物人類学者でロサンゼルスにあるジェーン・グドール研究所(JGRC)の共同責任者を務めるクレイグ・スタンフォードしは語った。

 同氏は殻を単なるエサ集めの道具と考えていたが、その予想は裏切られた。「チンパンジーだって自然素材を使って身を守るようなことはしないのにね」。

 この研究結果は12月15日発行の「Current Biology」誌に掲載されている。

Photograph courtesy Roger Steene

文=Matt Kaplan

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