19世紀の地球低温期、原因は謎の噴火

2009.12.09
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インドネシアにあるタンボラ山(2009年6月3日撮影)。1800年代初頭の地球の異常低温化は、1815年にこの火山の噴火によるものではなかった。2009年12月に発表された研究によると、場所は特定されていないものの1809年に別の火山が噴火した形跡が発見され、その噴火が異常低温の原因であると推測されるという。

Photograph courtesy NASA
 1800年代前半に地球の気温が異常な水準に下がった時期が10年ほど続いたが、その原因の解明につながる可能性がある19世紀の火山噴火の形跡が発見された。ただし、その火山の位置はわかっていない。“夏のない年”とも呼ばれた1816年の世界的な異常低温については、その前年に起きたインドネシアのタンボラ山の噴火が原因であると長年考えられてきた。しかし、地球全体の平均気温は1810年から1819年までの10年間を通して平年より約0.5度低かったことがわかっており、1815年のタンボラ山の噴火以前から気温が低下していた原因は謎とされていた。

 その謎が最新の研究で解き明かされたようだ。グリーンランドと南極大陸で採取された氷床コアを分析した結果、場所は特定できないが熱帯地方のどこかで1809年に火山が噴火したことが明らかになったのだ。

 この研究を率いた、アメリカのサウスダコタ州ブルッキングズにあるサウスダコタ州立大学の環境化学者ジホン・コールダイ氏によると、噴火の地質学的証拠はまだ見つかっておらず、詳しい場所も特定されていないが、熱帯地方のどこかということだけは確かだという。なぜなら、これほどまでに世界の広い範囲に火山物質を運ぶことができるのは熱帯地方特有の風のパターンだけだからだ。

 今回の研究で、1809年から1810年に形成されたとみられる氷床コアから高濃度の硫酸が検出された。硫酸は、火山が噴火して二酸化硫黄が成層圏に噴き上げられたときに形成される。

 コールダイ氏によると、硫酸が大気中に放出されると拡散して太陽光線を反射するため、地球に届くエネルギー量が減少し、地球全体の気温低下につながるという。地球の両極で採取した氷床コアから検出された硫酸の量から、謎の噴火の規模は、下層大気に約100メガトンの二酸化硫黄を噴出したタンボラ山の噴火の半分程度だったと考えられる。「タンボラ山の半分の50メガトンでも、かなり大きな規模だ。今回発見した噴火が、過去500年間で最も気温の低い10年間の到来の引き金となったのだろう」。

 かねてより、地球温暖化対策として下層大気に硫黄を注入することを提案する研究者は存在した。コールダイ氏も「そのような地球工学的発想は、火山の噴火が地球の気温低下につながることもあるという知識に基づくものだ」と話す。

 しかし硫黄は注入されて数年後には大気中からほとんど消えてしまうため、そのような対策をとるなら硫黄を継続的に注入しなければならず、その代償として地球環境に新たな問題を生む可能性があることも指摘する。「大気中に硫黄をばら撒いたら硫酸となって落ちてくる。まさにこれこそが酸性雨の原因なのだ」。

 この研究は「Geophysical Research Letters」誌に10月25日付で発表された。

Photograph courtesy NASA

文=John Roach

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