CO2濃度上昇でロブスターが大型化

2009.12.07
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今よりも酸性度の高い海水で育てられたアメリカン・ロブスター(右)は、酸性度の低い海水で成長したロブスター(左)よりもかなり大きくなることが、2009年12月に発表された研究で明らかになった。

 この研究では、大気中の二酸化炭素(CO2)が増加した地球環境を想定した条件で実験を行った結果、ロブスター、カニ、エビなどの海洋生物が酸性度の高い海水では大型化することがわかった。

Photograph courtesy Justin Ries, UNC-Chapel Hill
 大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇により海水の酸性度が高まると、ロブスター、カニ、エビなどの甲殻類が大型化する可能性があることが最新の研究でわかった。甲殻だけが大きくなるのか、それとも肉付きもよくなり体重が増えるのかは不明である。 しかし、これはほかの海洋動物すべてにとって朗報というわけではない。実験によると、カキやホタテ、アサリなどは、酸性度の高い水の中では殻を形成することが難しくなり、打撃を受けることがわかった。大気中のCO2濃度の上昇により、海水に含まれる炭素量は上昇するが、海洋生物が殻を形成するのに必要な炭酸イオンは減少するからだ。

 ノースカロライナ大学チャペルヒル校のジャスティン・ライズ氏の研究チームは、200年後に予想される地球大気のCO2濃度を設定した条件下で18種類の甲殻類を生育した。この実験で、いまよりもCO2濃度の高い環境で繁殖したロブスターなどの生物は、海水に含まれる無機炭素を甲殻の形成に使える形態にうまく転換することができた。

 サンゴなどは、一定のレベルまでは高いCO2濃度から恩恵を受けるが、その濃度を超えると急激に死滅する生物があることもわかった。今回の研究報告では、こうしたCO2濃度の“限界値”について今後さらに研究と観測が進むだろうとしている。

 何億年にもわたる進化を経た結果である現在の海洋食物連鎖の構造が急に変わると、酸性度の高い海水でも成長できる生物でさえも大きな打撃を受けることになる。ライズ氏によると、カニやロブスターの主要な餌であるハマグリは、CO2濃度が上昇すると「まったく異なる」反応を示す。「捕食する者が強くなり、捕食される者が弱くなる。その結果(ハマグリは)個体数を維持できず激減し、最終的には捕食者にも影響が及ぶことになる」。

 このシナリオは、サンゴなどの“生態系を支える生物”、ひいてはほかの多くの種類の生物にとっても問題となるとライズ氏は話す。「カニやロブスターなど、生きるためにサンゴ礁を必要とするすべての生物は、たとえいまより酸性度の高い条件で生息できると考えられても、この実験で予測されるようにサンゴが減少すれば打撃を受けることになる」。

 酸性度の高い海水で生き延びることができた生物も、結局は敗れ去ることになるだろうと同氏は述べている。その一因として、甲殻類が、苦労して獲得したエネルギーの大半を貝殻形成に費やすと、繁殖能力などほかの生体機能が退化してしまうからだ。

 この研究は「Geology」誌12月号で発表された。

Photograph courtesy Justin Ries, UNC-Chapel Hill

文=Brian Handwerk

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