“2つの頭”を持つウミヘビ

2009.08.06
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写真のハイドロフィス・パッチーセルコス(Hydrophis pachycercos)のようなある種のウミヘビは、サメなどの捕食動物を欺くため、どちらが頭でどちらが尾か見分けがつかないように姿を進化させているという。スウェーデンのクリスチャンスタード大学の生態学者ヨハン・エルムベルグ(Johan Elmberg)氏と、デンマーク王立芸術アカデミー保存修復学部(School of Conservation)の生物学者アルネ・ラスムッセン氏が、「Marine Ecology」誌の最新号で報告している。

 エルムベルグ氏によると、それはラスムッセン氏がインドネシアで調査のために海に潜ったときのことだったという。「ラスムッセンは毒性のウミヘビが岩の狭い割れ目に頭から入っていくのを見た。その直後に割れ目からヘビの頭が出てきたことに彼は驚いた。狭い割れ目の中で、ヘビがあっという間に体の向きを変えたように見えたからだ」。その“頭”が実際には尾であると気づくのに、少し時間がかかったそうだ。

Photograph courtesy Arne Rasmussen
 ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが複数の頭を持つ怪物ヒュドラに手こずったように、海の捕食動物たちも“2つの頭”を持つウミヘビには手を焼いているようだ。 写真のハイドロフィス・パッチーセルコス(Hydrophis pachycercos)のようなある種のウミヘビは、サメなどの捕食動物を欺くため、どちらが頭でどちらが尾か見分けがつかないように姿を進化させているという。スウェーデンのクリスチャンスタード大学の生態学者ヨハン・エルムベルグ(Johan Elmberg)氏と、デンマーク王立芸術アカデミー保存修復学部(School of Conservation)の生物学者アルネ・ラスムッセン氏が、「Marine Ecology」誌の最新号で報告している。

 エルムベルグ氏によると、それはラスムッセン氏がインドネシアで調査のために海に潜ったときのことだったという。「ラスムッセンは毒性のウミヘビが岩の狭い割れ目に頭から入っていくのを見た。その直後に割れ目からヘビの頭が出てきたことに彼は驚いた。狭い割れ目の中で、ヘビがあっという間に体の向きを変えたように見えたからだ」。その“頭”が実際には尾であると気づくのに、少し時間がかかったそうだ。

「あのときのヘビは夜行性で浅瀬に生息するアオマダラウミヘビだった。礁の割れ目に魚がいないか探していたようだ。前後にゆっくりと曲がりくねっていた尾が、虎視眈々と獲物を狙っているときの頭の動きとそっくりだった」とエルムベルグ氏は説明する。

 アオマダラウミヘビは体長約1メートルで熱帯に生息する。両氏はその後、ヨーロッパにある3カ所の博物館で同種98体の保存標本を調査した。すると、どのアオマダラウミヘビの尾にも“2つ目の頭”に見える模様があることがわかった。

「尾の模様とくねくねした動きで、尾ではなく毒を放つ頭だと捕食動物に錯覚させているのだろう」とエルムベルグ氏は話す。

 研究チームはそれ以来、南太平洋のソロモン諸島などで、写真のハイドロフィス・パッチーセルコスをはじめ他のウミヘビの種にも同様の模様があることを発見した。まだ目撃していないが、このヘビも尾を頭のようにくねらせるはずだと両氏は推測している。

Photograph courtesy Arne Rasmussen
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