世界最大のソンドン洞窟、ベトナム

2009.07.24
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ベトナムで発見されたソンドン洞窟の地下河川。2009年7月、単一の洞窟路としては世界最大であると調査チームが発表した。

 国際洞窟学連合(UIS)の専門家によると、最初の探検を4月に実施。その後、ハイテク・レーザー測量装置が使用され、洞窟の規模が寸分たがわず明らかになったという。

Photograph by BARM/Fame Pictures
 単一の洞窟路としては世界最大とみられる洞窟が、ベトナム奥地のジャングルで発見された。ベトナム北中部、世界遺産「フォンニャ・ケバン国立公園」にあるソンドン洞窟は、内部空間の大部分が高さ、幅ともに80メートルを超える。これまでの“世界記録保持者”だったボルネオ島マレーシア領内のディア・ケイブ(Deer Cave)を上回る規模だ。 ディア・ケイブは幅と高さが91メートルほどあるが、洞長は約1.6キロしかない。調査チームによるとソンドンの洞長は少なくとも4.5キロを超えるとわかっている。雨期で水かさを増した地底川に行く手を阻まれるまで計測した距離なのだが、その先はまだ続いているという。

 イギリス洞窟調査学会(BCRA)のアダム・スピレイン氏は、「数キロにわたって幅が140メートル以上、高さも140メートル以上あった」と話す。

 スピレイン氏は2つの調査グループのうち先発グループに属していたが、彼のチームはやがて高さ14メートルの壁に行く手を遮られることとなる。「第二グループも増水のために退却せざるを得なかった。しかし来年またあの壁に挑戦し、その先を調査する予定だ」とスピレイン氏は話した。

 同氏のイギリス・ベトナム合同調査チームを4月に案内したのは、数年前にソンドン洞窟の入り口を発見した地元の農民だった。鍾乳洞の入り口から2.5キロの地底川が流れており、70メートルを超える高さの石筍(せきじゅん)がそそり立っていた。

 洞窟の規模はレーザー測量装置によって調べられた。フランスに拠点を置く国際洞窟学連合(UIS)の理事長アンディー・イービス氏によると、このハイテクによってミリメートル単位の測量が可能になったという。「洞窟の規模を寸分たがわず把握することができた。実測値は従来の推定値を下回る傾向にある。経験と勘に頼っていた数年前までは過大評価してしまいがちだった」。

 フォンニャ・ケバン国立公園には石灰岩の洞窟が多数あるためイギリス調査チームが何度か訪れていたが、ソンドン洞窟は発見されていなかった。前出のスピレイン氏は、「この辺りの地形はとても険しい。ソンドン洞窟はベトナムの辺境地にあり、ジャングルで完全に覆われている。たとえ“グーグルアース”(無料の3D地球儀ソフト)で見ても、目標物は何も見つけられない」と説明した。

「洞窟はかなり近づかないと発見できないものだ。以前の探検調査でも、入り口から数百メートルの辺りを通っていたはずなのに発見できなかった」。その後、地元住民が洞窟の場所を知っているが怖くて内部に踏み込めないという話を聞いた。「洞口を通り抜ける風の音が非常に大きく、地底川の轟音も響いてくる。おじけづくのも無理はない」とスピレイン氏は話す。

 調査チームが悩まされたのは、洞窟に生息する毒ムカデ類だった。また、サルが洞窟の天井から出入りしてカタツムリを食べているのも見つけたという。「300メートルほど上から数本の光が差し込んでいた。サルは洞窟の天井から出入りできるようだ」とスピレイン氏は言う。来年の再調査には生物学者も同行して、洞穴生物を調べる予定だ。

 世界にはソンドン洞窟を上回るような通路型洞窟がまだ存在するのだろうか? 前出のイービス氏によると可能性は大いにあるという。「洞窟探検の魅力はそこにある。衛星写真を見た感じでは、アマゾンの熱帯雨林の奥にその可能性を感じる」とイービス氏は話している。

Photograph by BARM/Fame Pictures

文=James Owen

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