新しい恐竜化石が示す鳥類の祖先

2009.06.16
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中国で最近発見された化石から、恐竜の前脚が鳥の羽に進化した過程について手掛かりが得られるかもしれない。化石を元にしたイラストによると、この恐竜は首が長くダチョウに似た姿をしている。

Illustration by Portia Sloan
 中国で最近発見された化石から、恐竜の前脚が鳥の羽に進化した過程について手掛かりが得られるかもしれない。化石を元にしたイラストによると、この恐竜は首が長くダチョウに似た姿をしている。 研究チームによると、化石は1億5900万年前の獣脚類の恐竜で、リムサウルス・イネクストリカビリス(Limusaurus inextricabilis)と名付けられた。獣脚類は2本足で歩行し、現在の鳥の祖先と考えられている。

「リムサウルスは有名なティラノサウルス・レックスを含む獣脚類の1種だが、草食で全長は1.7メートルぐらいの小型恐竜だ」と、ワシントンD.C.にあるジョージ・ワシントン大学の生物学者である共同研究者のジェームズ・クラーク氏は語った。問題の前脚は比較的短く、ツメがない。

「頭部は歯を持たないクチバシのようになっているが、それほど鋭くはなかったと考えられる。原始的な羽が体を覆っていたと推定されるが、その証拠はまだない」と同氏は述べた。この研究は、ナショナル ジオグラフィック協会の一部支援の下で行われた。

 今回の調査で重要視されている点は、リムサウルスの前脚の指にある。その構造は、獣脚類が現在の鳥に進化する過程を明らかにしている。

 獣脚類恐竜の前脚と、鳥の羽の骨格部分にはどちらも3本の指があり、5本指の共通の祖先から進化したとみられる。しかし、恐竜には人でいう親指(第1指)、人差し指、中指が残り、鳥には、人差し指から薬指までの3本が残ったと考えられている。これは見過ごせない大きな違いであり、長い間の謎だった。「ほかのすべての証拠は鳥の祖先は恐竜だと指し示しているのに、この構造の違いはまったく矛盾していた」と同氏は語った。

 しかし、リムサウルスの手には4本の指があり、恐竜と鳥類の両方の手の特徴を合わせ持つ。恐竜の特徴である第1指はぎりぎりまで退化しているが、その代わり第2指は発達して大きくなっている。「鳥が持たない第1指が退化しているので、鳥への進化の移行期と考えて良いだろう」と同氏は述べた。

 今回の研究成果に対し、スミソニアン国立自然史博物館の古生物学者ハンス・ディーター・スーズ氏は次のようにコメントしている。「この発見は、鳥類は恐竜から進化したとする恐竜起源説を補強することになると思う。リムサウルスは、恐竜の前脚と鳥類の羽の構造の違いを合理的に説明できる重要な発見だ。両者はつながりがあると考えて間違いないだろう」。

 この研究の詳細は、今週発行の「Nature」誌に掲載されている。

Illustration by Portia Sloan
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