1996年にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した赤色巨星ベテルギウス。最も明るい星の1つで、有名なオリオン座に属している。2009年6月の天文学者たちの発表によると、ベテルギウスは急速に縮小しているが原因は不明だという。

Image courtesy A. Dupree (CfA), R. Gilliland (STScI), NASA
 巨大恒星として有名なオリオン座のベテルギウスが急速に縮小しているらしい。だが、天文学者たちはその理由を解明できていないという。ベテルギウスは地球から600光年の距離にある赤色巨星で、地球からはオリオンの右肩を飾る赤い点(三ツ星の左上)として肉眼ではっきりと確認できる。おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンとともに「冬の大三角」を形作る一等星としてもおなじみだ。 カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは1993年、カリフォルニア州南部のウィルソン山天文台にある赤外空間干渉計でベテルギウスの大きさを測定し、ベテルギウスを太陽系の中心に置くと木星の軌道と同じぐらいの大きさになると推定した。

 しかし、その後に同じ装置を使って測定したところ、現在のベテルギウスは金星の軌道と同程度の大きさしかなく、15年前と比べると15%小さくなっていることがわかった。 急速な収縮の原因は解明されていないが、同チームは3年前にベテルギウスの表面に通常とは異なる大きな赤い点があるのを観測している。

 研究チームのメンバーでノーベル賞を受賞したカリフォルニア大学バークレー校の天文学者チャールズ・タウンズ氏は、「ベテルギウスになんらかの不安定な現象が起きているようだ。この赤い点は星の大きさが徐々に縮んでいることと関係があるかもしれない」と話す。

 ミラ型変光星灯と呼ばれるタイプの星は2年周期で25%程度の膨張と収縮を繰り返し、最も収縮したときは観測ができなくなることもある。そのような変光星が脈動する仕組みと理由は既に解明されており、脈動と星の明るさの変化に関係があることもわかっている。

 研究チームによると、ベテルギウスも変光星の一種であり、明るさは数年ごとにわずかに落ちているが、ミラ型変光星のような劇的な変化には程遠く、平均すると明るさは15年前とそれほど変わらないという。

「この星で、何かしらいつもとは違うことが起きている。次に何が起きるのか、というのが目下の疑問だ」とタウンズ氏は言う。約850万歳のベテルギウスは超新星としていつでも爆発する可能性があると予測されており、爆発時にはその様子を地球からはっきりと観測できるはずだ。

「このまま縮小を続けて崩壊するのか、それとも膨張と縮小を繰り返すだけなのかはまだわからない」と、タウンズ氏は熟考中だ。

 この研究は6月9日にカリフォルニア州パサディナで開催されたアメリカ天文学会第214回会合で発表された。

Image courtesy A. Dupree (CfA), R. Gilliland (STScI), NASA

文=Ker Than in Pasadena, California