火星に大規模な地下水脈の跡を発見

2009.05.21
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火星の巨大なビクトリアクレーターにあるセント・ヴィンセント岬のカラー合成画像。

 2009年5月に発表された研究によると、火星にはかつて、アメリカのオクラホマ州の面積(約18万平方キロ)に相当する大きさの地下水脈があったという。危険を冒してクレーターの底まで降りた火星探査車オポチュニティによってこの事実が突き止められた。

Photograph courtesy Steven W. Squyres
 太古の火星では、形を頻繁に変える砂丘の下にアメリカのオクラホマ州の面積(約18万平方キロ)に相当する大きさの地下水脈が隠れていたという。この事実がNASAの火星探査車オポチュニティによって突き止められた。 オポチュニティは2004年にも、かつて火星に地下水が存在していたことを示唆する鉱物とブルーベリー形状の岩石をエンデュランスクレーターで発見している。

 そして今回また新たに、水の存在を示唆する同様の痕跡をビクトリアクレーターで発見した。このクレーターはエンデュランスクレーターから約6キロ離れた位置にあり、クレーターの側面には珍しい岩石層も見つかった。これは古代の砂丘が石化して残されたものと考えられている。

 アメリカのニューヨーク州にあるコーネル大学の教授で、火星探査車プロジェクトのリーダーでもあるスティーブ・スクワイヤーズ氏は次のように解説する。「火星の水は局地的にオアシスを形成していたのではなく、もっと大きな範囲で地形を形作っていたのではないかと考えられていたが、今回の発見でその仮説が証明されることになった。数キロ離れた2カ所で同じ地形が発見されたということは、その地形形成プロセスがこの地域の大部分で作用していたことの証左となるかもしれない」。

 また同氏は、「水が生命にとって不可欠な要素だというのは多くの科学者たちの共通した考えだ」とも指摘した。

 2006年、火星探査のプロジェクトチームはビクトリアクレーターにオポチュニティを送り込むかどうか長い間決めかねていた。クレーターに入るには起伏の激しい地形を通らなければならず、老朽化した探査車の操舵システムや車輪では耐えられない可能性があったからだ。なんらかの故障が発生すれば、オポチュニティは二度とビクトリアクレーターから出られなくなる。ミッションの責任者はそう危惧していたのである。

「リスクはあったが、このミッションを実行に移して良かった。新たな発見があったのだから」とスクワイヤーズ氏は言う。オポチュニティは2008年8月にビクトリアクレーターを無事抜け出し、現在は約13.5キロ離れた場所にあるさらに大きなエンデバークレーターへ向かってゆっくりと前進している。

「実際にビクトリアクレーターの中に入って確認する以外に、水脈の規模を知る術はなかった。ただしクレーターに入るだけではだめで、無事に抜け出して初めて任務完了となる」と同氏は話した。

 今回の研究結果は、今週発行の「Science」誌に掲載されている。

Photograph courtesy Steven W. Squyres

文=Ker Than

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