古代の巨大有袋類ウォンバット、サイズの違いは性別の違い

2008.06.23
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古代の巨大なウォンバットの親子の想像図。  大型の乗用車ほどの重さで人間と同じ高さのものもいれば、それよりかなり小さくコンパクトカー程度の重さのものもいた。個体によってサイズが大きく異なるにもかかわらず、これらの有袋類は同じ種に属しており、サイズの違いは性別の違いによるものだという新しい研究結果が発表された。

Illustration by DEA PICTURE LIBRARY
 かつてオーストラリアに生息していた古代有袋類のウォンバットは草食ではあったが、驚くほど大きな動物だったらしい。 古代のウォンバットは最大で体長3メートル、体高180センチ。大型の乗用車ほどの重さのものもいれば、それよりもかなり小さくコンパクトカー程度の重さのものもいた。これまで、こうしたサイズの違いにより、古代のウォンバットの亜種数が古生物学者の間で議論の対象となってきた。しかし、新しい研究結果によると、サイズの大きな違いに関わらず、古代のウォンバットはすべて同じ種に属しており、サイズの違いは性別の違いによるものだという。

 オーストラリアのクイーンズランド大学の古生物学者、ギルバート・プライス氏らの研究チームは巨大なウォンバットの化石の歯を分析した。同氏は「歯を調べるだけで、どれとどれが仲間なのかはっきりとわかるのではないかと考えた」と話す。

 人間やほかの動物では、オスとメスの大きさが極端に異なる場合があり、この特性は「性的二形」と呼ばれている。化石の歯の分析は、古代の種を調べるための効果的な手法となる可能性がある。体のほかの部分には性的な特徴が表れやすいが、臼歯のような奥歯はたいていの場合、食べる行為にのみ関連がある。通常、特定の種のオスとメスはどちらも同じものを食べているので、歯の形も同じになるはずだからだ。

 プライス氏がこの事実を利用して、世界中の博物館に保存されている1000体以上の古代のウォンバットの歯を比較したところ、どれも同じ形態であることがわかった。つまり、巨大なウォンバットも小振りなウォンバットも同じ種類であったことになる。従来の古生物学者たちはサイズの異なるオスとメスを別々の種だと誤解していたのだ。また、サイズの違うウォンバットの骨が一緒に見つかる場合が多いのだが、その理由もオスの骨とメスの骨だったと考えることで説明がつく。

 ロンドン自然史博物館の古生物学者、アンディ・カラント氏は「ほとんどの巨大な草食動物の化石は、詳しく調べるうちに生物学上の分類の数が少なくなる傾向にある」と言う。「だが、初期の研究者たちが誤っていたとしても、彼らを責めるわけにはいかないだろう。過去の研究者たちは種の変異について非常に敏感に考えていたからだ。個体群の中でオスとメスの間にどの程度の違いがあるかについて、彼らはあまり理解していなかった」とカラント氏は述べている。

 ちなみに、オーストラリア南部に生息する現在のウォンバットは、昔よりも外見はつつましく、足の短い体長1メートルほどの草食動物だ。200万~1万年前に地上を歩き回る最大の有袋類だった氷河時代の先祖とはほとんど似ていない。

Illustration by DEA PICTURE LIBRARY

文=Matt Kaplan

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