私たちが出した答えは、次の通りだ。

 深さ1.2メートルほどの大きな穴を2つ掘る。穴の間隔は、トラックのタイヤの間隔。トラックの後輪を穴に入れる。もう気づいただろうか? ジャケットを上げるのではなく、トラックの荷台の高さを下げればよいのだ。
 地面と荷台を渡す板を2枚敷く。ジープにあるウインチを使い、トラックの荷台の隙間からワイヤーを通す。ワイヤーをジャケットに引っ掛けてウインチを巻けば、2枚の板の上をジャケットが滑り、荷台へを導かれていく。
 自然と拍手が沸いた。

無事にトラックの荷台に収まったジャケット。研究施設に運んで、本格的な研究を始めた。
* * *

 調査後、巨大ジャケットは韓国の施設へと運ばれ、「クリーニング作業」が進められた。クリーニング作業とは、骨化石を岩から取り出す作業だ。周りの岩を慎重に削っていく。この化石を発見した際に期待していたとおり、美しい頭骨が残り、こぶ付きの立派な尻尾も掘り出された。このヨロイ竜がどんな恐竜だったのか、詳細は現在、研究中だ。

 現在、このヨロイ竜は骨格が組み上げられ、韓国南西部にある華城(ファソン)市の市役所で展示されている。この化石の産地からはティラノサウルスの仲間であるタルボサウルスの歯も見つかっていることから、このヨロイ竜の遺骸はタルボサウルスに食べられた可能性がある。その様子を再現して、隣にはタルボサウルスの復元骨格を並べている。華城市では現在、恐竜博物館の建設が計画されていて、完成すればそちらに展示される予定だ。

私たちが発掘したヨロイ竜(左)は現在、韓国・華城市の市役所で展示されている。右は、このヨロイ竜を食べた可能性のある、肉食恐竜タルボサウルスの骨格だ。

つづく

小林 快次(こばやし よしつぐ)

1971年、福井県生まれ。1995年、米国ワイオミング大学地質学地球物理学科卒業。2004年、米国サザンメソジスト大学地球科学科で博士号取得。現在、北海道大学総合博物館准教授、大阪大学総合学術博物館招聘准教授。モンゴルや中国、米国アラスカ州、カナダなど海外での発掘調査を精力的に行い、世界の恐竜研究の最前線で活躍中。著編書に『恐竜時代I 起源から巨大化へ』『日本恐竜探検隊』(以上、岩波書店)、『モンゴル大恐竜 ゴビ砂漠の大型恐竜と鳥類の進化』『ワニと恐竜の共存 巨大ワニと恐竜の世界』(以上、北海道大学出版会)など、監修書に『大人のための「恐竜学」』(祥伝社)、『そして恐竜は鳥になった 最新研究で迫る進化の謎』(誠文堂新光社)など多数。

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