「モードにもよりますが、だいたい2週間で1回の稼働(ラン)です。このレーンひとつひとつに試料が入っていて、カートリッジごとに8つレーンがあります。さらにカートリッジは2つ同時に使えるので、最大で16レーンを同時進行します。自分たちがやるような実験では、1レーンを使うことが多いです。8レーン全部ってことも時々ありますが。試薬が結構高いのもあって、値段は1レーンにつき30万円くらい。これも学内での値段なので相当安いんです」

試料を入れるカートリッジ。(写真クリックで拡大)

 先ほど紹介したように、清水さんが倍数性植物のゲノム解析をする方法を開発し、ミヤマハタザオの研究をしたのは、まさにこの次世代シークエンサーだ。ウルナーボーデン村の新種植物の研究でも大活躍している。

 しかし、なんというか、外から見る分には、やはり「ただの箱」である。音もなく粛々と試料を処理し続けているのだろうが、まったく実感が湧かない。とにかく数百くらいの数の塩基配列の断片を沢山ひろいだしてきて読み、そういう断片をつなぎ合わせることで全体を構成する。それが基本的な考え方だと理解している。性能を見るポイントとしては、読める1断片が長くまた正確なほど高性能だし、もちろん読み取りの速度が速いことも大事だ。現在のマシンは、1980年代から使われてきた旧世代のシークエンサーに比べて飛躍的に性能が向上している。

 機械を前にしていても一向に凄みは感じにくいので、出てきたデータを処理する生物情報学(バイオインフォマティクス)の専門家の部屋に案内してもらった。次世代シークエンサーが吐き出したデータを、生物学的に意味のあるものにするためには、この事後作業が大事だと聞く。

 見た目はデスクの上にコンピュータが置いてある情報技術系のオフィスだ。しかし、ある技術者の画面に出ていたウインドウを見ると、延々と記されているのはAGTCの配列! つまり、試料から読んだ配列データなのである。次世代シークエンサーが出してくるデータは断片的なものだが、それらをつなぎ合わせて知りたい塩基配列全体を再構成しているところとみた。

4種類のアルファベットが延々と並ぶ。(写真クリックで拡大)

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る