第1回 「新種誕生」を見にスイスアルプスへ行ってみた

 ここで確認。今、もしもニュースで「新種の発見」の報を聞くとすると、それには2つのタイプがあるような気がする。

 1つ目は「○○島に生息する新種の霊長類を発見!」のような現生の生物の新種。ずっと前から存在していたけれど、人間は知らなかったということで、最近新しい種になりました、というのではない。実は現地の人は知っていたけれど、科学的には認知されていなかった、ということもある。

 もう1つは、「新種の恐竜を発掘!」のように、知られていなかった古生物の発見。すでに絶滅している太古の生き物の化石などが見つかり、既知のものとは違う特徴を持っていて新種と認定される場合だ。これも種分化の瞬間を捉えるものではなく、むしろその歴史を追う研究の一翼を担う。

 しかし、清水さんがいう「新種」は、このどちらのパターンといも違う。今まさに新しい種になったところを見つけた! という点が破格なのである。

 それにしても、本場のアルプスは、本当にごつっごつっとした山塊で、キリリとそびえ立っている。狭い谷筋なので、川と鉄道と道路が並行しているところもある。狭いなりに牧草地になっているところも多く、こんなところにもしっかり人は住んでいるのだなあ、と山がちな国から来たぼくは、親近感を抱きもした。

 いや、それだけではない。これって……なにか既視感がある。

 スイス、アルプス、というと。

「アルプスの少女ハイジの世界ですよね」とぼくはハンドルを握る清水さんに言った。

「いや、それ以上なんですよね」と清水さんは応えた。

「かなりの高地なので、19世紀まで冬は人が住んでなかったんですよ。本当に永続して住めるようになったのが20世紀になってからで、雪が降ったらもう完全に孤立してしまって、ハイジの頃はまだ定住できなかったはずです」

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