毎朝、子供を起こして学校に送り出すのに四苦八苦している親御さんも多いと思う。階下から子供部屋に向かって起きろーと怒鳴っていた主婦がその声量を買われて町内の合唱団に誘われたとか、そんな笑い話がでるくらい寝た子を起こすには日々胆力と腹筋を要する。かく言う私の長男坊も寝起きが悪く、寝ている間に頭のどこかの歯車が外れているんじゃないかと心配になるほどエンジンがかからない。目覚まし時計よりも早く目を覚ます長女と遺伝子の1/4を共有しているとは思えない寝坊ぶりである。

(イラスト:三島由美子)(画像クリックで拡大)

 睡眠不足なんだろうなぁと同情したりもするが、早寝をした翌日でも寝坊は同じだったり、遊びに出かける朝にはちゃっかり早起きしてくるため、時々冷た~い視線で寝ぼけ顔を見てしまう。同じような疑問を持つ親は多いらしく、Yahoo!知恵袋などでも「遠足で起きられるのに普段寝坊なのはおかしい。やる気の問題なんじゃないか?」という主旨の質問が複数寄せられている。今回はこの希望した時刻に目覚めるチカラについて興味深いデータをご紹介したい。

 意思や意欲(やる気)が早起きを助けるのは確かである。「頑張らなくちゃ!」「明日が楽しみ」「早く朝にならないかな」などのハッピーな動機付けや期待があると、目覚まし時計なしでも希望時刻あたりで覚醒できる確率が高くなる。ある調査によれば健常成人の半数以上が必要に応じて自力で覚醒できると回答しており、その精度(予定時刻と実際の覚醒時刻の誤差)は±10分程度であるらしい。驚愕の結果である。少なくともこの調査は私の周囲では行われなかったことは間違いない。だって早起きが得意そうな人間がさっぱり見当たらないから。

 意思によって自力で覚醒することを専門用語では「自己覚醒 (self-awakening)」もしくは「予定された睡眠終結(anticipated sleep termination)」と呼ぶ。一般的に前者の方がよく用いられるが個人的にはterminationの方が好きで、自己覚醒の得意な人を睡眠のターミネーターと呼んでいる。早起きが思いのまま、朝からエンジン全開、朝礼で喝っ、というイメージにぴったりだからだ。こわっ。冗談はさておき、自己覚醒できる人は当然ながら睡眠慣性が少なく覚醒感がよい。睡眠をコントロールしている感じ、1日を制した感じで、きっと気持ちが良いのだと思う。実にうらやましい。

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