データで見る再生可能エネルギー

沖縄の風力発電

 この4月から「住宅・建築物の省エネルギー基準(省エネ基準)」が完全施行されます。かつての基準は断熱性など建物だけを対象としていたものでしたが、2013年に改正された新しい基準では、家電や発電などの設備までを対象に含め、建物全体の省エネ性能を評価するものとなっています。商業施設やホテル、病院などについては、この基準への適合が義務化される見通しで、法整備が整えば基準に達しない建築が認められなくなるかもしれません。

 省エネは電気代の節約になるのはもちろんですが、二酸化炭素(CO2)の排出も減らしてくれるため、地球環境の保護に貢献できます。しかし、そもそも私たちがいったいどれくらいのCO2を排出しているかご存じでしょうか。

 少し古いデータになりますが、国立環境研究所が昨年公表した調査結果によると、日本における2012年度のCO2総排出量は12億7600万トンでした。1人当たりに換算すると10トンとなり、1990年度と比べると8.4%増加しています。私たち一人ひとりが環境にこれだけ負荷をかけているわけです。もっとも、「10トン」といわれても、ちょっとイメージしづらいかもしれませんね。

 『ビジュアル教養大事典』の「物理学と技術」章の「エネルギー技術」の項では、さまざまな数字を挙げてエネルギーにまつわる知識をわかりやすく説明しています。ここでは同書に掲載された内容から、私たちの生活に身近なデータを少し紹介していきましょう。

 例えば、平均的な木は1本当たり40キロの葉や枝を毎年作るとされていて、その中で20キロのCO2を蓄えてくれます。つまり、私たちが毎年排出している10トンのCO2を吸収してもらうには、単純計算で500本の木が必要ということになります。もう少しマクロに見ると、0.4ヘクタールの森は毎年4トンのCO2を蓄えられます。ドイツの場合、CO2の年間排出量が8億トンなので、8000万ヘクタール(80万平方キロ)の森が必要という計算です。ドイツの国土面積は36万平方キロなので、国すべてが森になってもだいぶ足りませんね。

 もちろんCO2を削減する方法はいろいろあって、化石燃料を使わない、再生可能エネルギーを利用するというのもその一つです。もっとも、これだけで私たちの生活をまかなおうとすると、これもまたなかなか大変です。太陽の光で発電する太陽光パネルを屋根などに取り付けている家も増えてきましたが、給湯器を3分使う(あるいは省エネの電灯を200時間点灯する)のに必要な石油100グラムから得られるエネルギーは、夏に1m2の地面を1時間照らす太陽光に相当します。米国の家庭では、暖房を除いて1日当たりこの20倍の電力を使用しているといわれ、人間一人の生活をまかなおうとすれば、15m2程度の太陽光パネルが必要だとされています。

 このように簡単ではありませんが、それでも再生可能エネルギーの利用は少しずつ広がっています。世界中ではエネルギーの約8%、EUに限れば12.7%の割合で再生可能エネルギーが使われています。潮力や波力、海流、地熱から取り出すエネルギーはまだ研究・実験段階にあるところが多いのですが、すでに実用化されているものとしては風力、水力、太陽光があります。特にドイツやスペイン、米国では風力発電の実用化が進んでいます。ノルウェーのように、エネルギー需要の99%を水力発電でまかなっている国もあります。

 実用化が始まった話題の水素自動車にしても、太陽光を利用している部分があります。水素を燃料として使う方法はいくつかありますが、その一つとして太陽光で水を水素と酸素に分解し、この水素を圧力容器に入れて町へと輸送し、自動車の燃料電池に使う、という具合です。

 再生可能エネルギーが、大変なポテンシャルを秘めていることは間違いありません。太陽から地球に到達するエネルギーは、世界中が消費するエネルギーの2500倍にも上ります。こうしたエネルギーをもっと効率よく使える形に変換したり、輸送したり、貯蔵したりすることが、エネルギー技術の要となります。

普及している太陽電池は受けた光の8~16%を電気に変換する能力がある。

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