――小説のなかで、先進国から来るNGOの活動は、一面では先進国の欧米的な価値観を現地に押しつけるものではないかというようなことを、登場人物の言葉として書かれていますね。

 ええ、私自身は、そういう側面もあるだろうとは思っています。しかし、インドのNGO事情は、そういうものとはまったく違っていました。

 インドにあまたあるNGOの多くは、自国の人が立ちあげて運営しているもので、貧困や差別、教育といった国内問題に直結する活動を展開しています。

 しかも、政府とも密接な関係にあって、行政の手が回らない部分を担う組織として、さまざまなかたちで機能していました。ですから、NGOにかかわる部分は、取材後にかなりふくらませました。

――若い世代のなかに、けっこうインド好きがいますが、篠田さんから見て何が彼らをインドに引きつけるのだと思いますか。

 ひとつは、日本のような管理社会ではないこと。想像もつかないような混沌とした、ある意味では無秩序な社会なのに、そこに寛容さと大きさがある。

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