第18回 朝の目覚め感をよくするには

 米国で行われたある実験を紹介しよう。参加したのは9名の健康被験者(平均年齢29歳)。3週間にわたって毎日8時間の睡眠をとり、睡眠不足を十分に解消してから実験に臨んだ。被験者に実験室で寝てもらい目覚めた直後から認知機能テストを開始し、その後丸々24時間(徹夜込み)にわたって2時間おきに測定した結果、以下のことが判明した。

(イラスト:三島由美子)(画像クリックで拡大)

 1日の中で覚醒直後の成績は最も悪く、平均してピーク時の65%に過ぎず、徹夜明けよりも大幅に低い水準であった。この睡眠慣性による認知機能の低下は短時間では回復せず、覚醒から1時間たってもピーク時の80%台にとどまり、午後の眠気のある時間帯や深夜帯と同水準であった。

 睡眠慣性があると頭が働かず事故のリスクが高まるのは当然で、見かけ上は覚醒しているが脳はまだ半覚醒だからである。実際、脳波を測定すると周波数が低いままである。脳波は周波数の高いものから順に、β波(ベータ:14~30Hz)、α波(アルファ:8~13Hz)、θ波(シータ:4~7Hz)、δ波(デルタ:1~3Hz)の大きく4つに分けられる。しっかりと覚醒し注意力が高い状態ではβ波が多くみられる。閉眼して安静にしているときはα波が主体となり、ウトウト(まどろみ)状態になるとα波が減少して代わりにθ波が出現してくる。徐波睡眠(深い睡眠)になるとδ波が主体となる。睡眠慣性があるときの脳波ではθ波やα波が多くみられ、目は開いていても脳はウトウト状態なのである。

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