「うちのバンデハ・パイサの具はごはんを入れて10種類。でも本当はもっといろいろな肉がのっていて、14種類くらいが基本です。日本では手に入らないものが多いのよ」とステラさん。とくに、豚の皮をカリカリに揚げたチチャロンは欠かせないようだが、「日本ではなかなか手に入らない」のだと嘆く。

 10種類でも十分多いと思うけれども。しかも、毎日のように食べる地方もあるらしい。店で食べることもあるというが、家族のぶんをつくる母親は大変だ。感心していると明さんが言った。「うちのお母さんは7歳のときからつくっていたそうなんです」

 ステラさんの実家は農家。父親が家畜を育て、母親は羊毛で糸をつくって売っていたそうだ。きょうだいは兄が2人いたが、下に妹が7人もいて、ステラさんが中心となって家事をこなしていた。食事はすべてステラさんがつくっていたという。「コロンビアの女の子はみんな小さい頃から料理をつくるんですよ。お母さんのやり方を見ながらね」

 7歳の頃から日常的につくっているとは恐れ入るが、コロンビアではそうやって母を手伝いながら味が受け継がれていく。それも、家族にお腹いっぱい食べてほしいという思いとともに。明さんが言った。

「お母さんもいっぱい食べろって言うけれど、おばあちゃんのバンデハ・パイサはお母さんよりも山盛りでした。それじゃ足りないだろ、もっと食べろもっと食べろって言って」

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