――インドは多彩な鉱物資源を持つ鉱業国でもあるのですが、今回の小説で水晶を取り上げたのはどういう理由からですか。

 今日、水晶を持ってきたのですが、ご覧になりますか?
 これはインドのものではなくて、日本の甲府で採れた水晶です。すごい透明度でしょう。

――これはどのようにして入手されたのですか。

 物心ついたころには、私の手元にありました。おそらく父が職場旅行で甲府に行ったときに買い求めたものだと思います。

 ですから、昭和30年前後までは、このような甲府産の水晶があったということです。もうこれほどのものは採れなくなり、今売られているのはブラジルなど海外から原石を輸入したものです。

――甲府は古くから良質な水晶が採れることで知られ、工芸・宝飾品も有名ですね。

 工芸、宝飾用の他に水晶は工業原料としての用途もあるんです。たとえば時計や通信機器に欠かせない水晶振動子の原料として以前は天然水晶を使っていましたが、現在では工業用としては人工水晶を用います。甲府はそうした水晶振動子の産業では世界でトップクラスです。

篠田さんが持ってきてくれた甲府の水晶

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