第3回 インドで働く日本人ビジネスマンの苦悩

 先に申しましたが、当初はファンタジーにするつもりだった物語を、別のものに切り替えたのは、インド社会の直面する問題や、そこで仕事する際に日本人の直面する厳しい現実について、多くのビジネスマンから直接話をうかがったこときっかけでした。

 それから、これもおもしろいことなのですが、鉱山の話をしてくれた人は、私の中学の同級生だったんです。通っているスポーツジムのプール脇でジャグジーに入っていたら、たまたま彼がいたんですよ。卒業してから四十年近く、1度も会ったことがなかったのに。

――すごい偶然ですね。

 こういうものを書こうと思っているときに、予期せず意図せず、そういう出会いに恵まれるということは、過去にもありました。

――ところで、その方が言うようにインドでのビジネスは、相当に難しいものなんですか。

 そのようですよ。
 海外の最前線で働くビジネスマンは、どこでもそれなりに軋轢も危険もあるものでしょうが、なかでもインドは特殊だといわれます。

 インドに駐在していたビジネスマンたちが、帰国後に集まってインドについての勉強会を開いていまして、私も参加させていただいているのですが、勉強会であると同時に戦友会のような雰囲気もあります。