フィリピン沖の海を漂うビニール袋。プラスチックは海の至るところに散らばっていて、深海や北極圏の氷の中からも見つかっている。(PHOTOGRAPH BY KEITH A. ELLENBOGEN, AP)

 新たな手法で海ゴミの量を測定した結果、これまで考えられていた以上のゴミが海を漂流していることがわかった。研究によると、2010年の時点で沿岸諸国から流れ出たプラスチックゴミの量は800万トンにのぼる。これは「ゴミベルト」と呼ばれる、ゴミが大量に集まった海域を漂う量をはるかに上回る。しかも、全世界でゴミの収集、処理方法を見直さなければ、10年後にはこの量が10倍に膨れ上がるという。

 この研究結果は米国の科学誌『Science』に12日付で発表された。世界の海に毎年流れ込むゴミの量が示されたのは初めてのこと。これまで海ゴミの測定といえば、世界中のゴミベルトを漂うプラスチックの一部をサンプルとして抽出し、数える方法が主流だった。例えば2014年の調査では、海ゴミの総量は最大24万5000トンと推定されていた。

20カ国を特定

 今回の研究ではさらに、プラスチックゴミの主な出所を特定し、最も多く海ゴミを出している20カ国を名指しした。1位は中国で、米国は20位だ。あいだにはアジアの11カ国、トルコ、アフリカの5カ国、ブラジルが名を連ねる。

このランキングは1年間に海に流れ込むプラスチックゴミの総量に基づく。国民1人当たりのゴミの量は考慮していない。例えば、10位のバングラデシュは86万7879トンのゴミを出しているが、1人当たりに換算すると187位の約157キロだ。一方、デンマークの総量は1974トンで143位だが、1人当たりの量は19位の約854キロだ。(NG STAFF; J. L. WANG. SOURCE: SCIENCE)

 米国マサチューセッツ州ウッズホールにある海洋教育協会の海洋学者で、今回の研究に参加したカーラ・ラベンダー・ロウ氏は「私たちは浴槽の中でなく蛇口から出てくるものに目を向けました」と説明する。「両者のあいだには、あまりにも大きな開きがあります。海に流れ込むゴミの方が20~2000倍も多いのです。私たちが海で数えてきたゴミが過去50年分の蓄積であることを考えると、かなり衝撃的な数字です」。

 研究を主導したジョージア大学の環境工学者ジェナ・ジャムベック氏は、800万トンという数字を「世界中の海岸線に沿って約30センチごとにスーパーのビニール袋五つ分のゴミが並んでいるようなものだ」とたとえる。「しかも、2025年までにはビニール袋の数が10個に増える見込みです」

至るところにプラスチック

 ジャムベック氏らは太平洋、大西洋、インド洋、地中海、黒海に接する192の沿岸国の人口や経済データもまとめた。その結果、これらの国々が年間2億7500万トンのゴミを出していること、そのうち480万~1270万トンのプラスチックが海に流れ込んでいることがわかった。比率にするとゴミ全体の2~5%にすぎない。

 プラスチックは消費財にどんどん導入され、半世紀前に普及しはじめて以降、着実に生産量が伸びている。例えば、2012年には全世界で2億8800万トンのプラスチックが生産された。今やプラスチックは海の至るところに散らばっていて、深海や北極圏の氷の中からも見つかっている。約700種の海洋生物の体内に取り込まれ、悲惨な事態を招いている。

 また、この研究は新たな謎を生んだ。海を漂うゴミの量と海に流れ込むゴミの量とのあいだには大きな差がある。「私たちはこの差を埋めなければなりません」と英国プリマス大学の海洋生物学者リチャード・トンプソン氏はいう。海に流れ込んだゴミがどこに行ったのか、その量はどの程度なのかを明らかにするという課題に、科学者らは直面しているのだ。

文=Laura Parker/訳=米井香織