悪気があって書いたわけではないのですけれど。いや、悪気ありありかな。
 小説ですから、腹黒い人間をたくさん登場させていますが、インド人が全部そうだというわけではありませんよ。

 それ以前に厳しい現状を打開し、具体的な成果を上げようとすれば、国民性にかかわりなく、赤子のように無垢で済むわけはない。ただ、交渉事が厄介なのは事実のようです。私の同年代には海外駐在の経験者が多いのですが、皆さんインドは特殊だといいます。

――少数部族の生活や水晶の原石の取引の場面などは、かなり詳細に描かれていますね。この領域はあまり資料がないのではないですか。

 少数部族については、本なども出ていますが、生き神については、資料といえるほどのものはありませんでした。インドの鉱業権や水晶の採掘については、ほとんど資料がなくて、日印の企業の合弁に関わった日本人弁護士の方や、現地、オリッサ州で採掘事業に行っている方にお話を聞きました。これはけっこう大変でしたね。

――そのへんは後ほど詳しくうかがうとして、次はインドへの取材旅行についてお聞かせください。

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(つづく)

篠田節子(しのだ せつこ)

1955年、東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン―神の座―』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞を受賞。著書に『はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか』『銀婚式』『長女たち』など多数。昨年12月、作家生活25周年記念作品として、インドを舞台にしたビジネス冒険大作『インドクリスタル』を発表。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。

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