もともとインドは、北西部にいたアーリア人が紀元前1000年ごろにインダス川流域に進出してかたちづくられていった国です。

 当然、それにより駆逐された先住民がいるわけです。多くは、南下しながらヒンドゥー教に教化されるのですが、なかには古くからの習慣や文化に基づく生活を続けてきた部族があり、今でもインド各地に分散して生活しています。

 また、そういう地方の少数部族の村に、反政府勢力が入り込んでいて、インドでは大きな社会問題になっています。

――そうしたインドの社会情勢も小説に織り込まれていますが、作品の構想は何がきっかけで生まれたのですか。

 1994年ごろでしたか、『ゴサインタン』という小説の取材でネパールに行ったときに、クマリのことを知ったのが始まりです。

 クマリは生きた女神のことで、ネパール王国の守護神の生まれ変わりとされています。国内から選び出された少女がクマリを務めるんです。そのときに生き神を題材に物語を書きたいと思ったのですが、クマリは有名ですからね。どうしようかと思っているうちに、インドの土着信仰の中にも処女神みたいなものがあると知りました。

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