「ベルーガのまなざし」(ダグ・アラン、2002年)

 デジタル写真の普及で最も大きく変わったのが、水中写真です。1回の潜水で撮影できる枚数が劇的に増えたため、フィルム交換のためにいちいち浮上する必要がなくなり、シャッターチャンスを逃すことが少なくなったのです。もちろん、水中ならではの難しさは、まだまだあります。アクアラングが必要なので撮影できる時間には限りがあるし、光の当たり方も地上とはまったく違います。漂う波間では、カメラを三脚で固定するわけにもいきません。しかし、見たことのない光景がまだまだあり、未知の生物も多いことから、水中写真は今でも最も驚きの写真が期待できる分野です。

 この写真は、海面近くを泳ぐベルーガ(シロイルカ)をとらえた1枚。太陽の光が真っ白な体を柔らかく照らしています。ベルーガをこのようにクリアに撮影できる季節は限られています。写真家ダグ・アランは、音に敏感で好奇心旺盛なこの動物が人間の歌にも反応するのではないかと考えました。マウスピースを加えたまま“ハッピーバースデー”を歌ったところ、ベルーガが集まってきて、この一枚を撮影できました。

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