第4回 “野生”をシンボリックに表現

「ブラザー・ウルフ」(ジム・ブランデンバーグ、1988年)

 「はい、チーズ!」と言えば、カメラの方を向いて、ポーズを取ってくれますね。人間ならば。野生動物の場合、そんなことはあり得ません。動物のポートレート写真が難しい理由の一つは、そもそも遭遇するのが難しい上に、わずかなチャンスのあいだに身構えない自然なポーズを動物がなかなか取ってくれないことです。優れたポートレート写真を撮るには、写真家が動物をよく理解し、気持ちを通わせることが欠かせないといいます。

 ジム・ブランデンバーグは、森の中に丸太小屋に暮らしながら、時には北極圏にまで滞在して、オオカミを追い続けている写真家です。ここに写るのは、米国ミネソタ州レイヴン・ウッドの森で知り合ったオオカミの一匹。用心深く、木の影に体を隠しながらもブランデンバーグをじっと見つめています。このポートレート写真は、オオカミの習性をよく表しています。この作品の発表以降、多くの写真家が物陰に隠れた動物を撮影し、動物の野生をシンボリックに表現するようになりました。

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