第8回 神子元島のシュモクザメの調査は大成功

 海況がおおむね良好だったこと、サメが頻繁に出現してくれたこと、それに現地の人たちが熱心に協力してくれたことで、調査は予想以上にスムーズに進み、受信器は全部で6台、神子元島をぐるりと囲むように設置することができた。それに発信器も超音波発信器(超音波信号を発信して受信器に居場所を知らせるもの)を8台、人工衛星発信器(6カ月後に切り離されて海面に浮かび、人工衛星経由で居場所を知らせるもの)を2台、計10匹ものサメに取り付けることができた。この10匹には、シュモクザメだけでなく、ガラパゴスザメ(いわゆる普通の見た目をしたメジロザメの仲間)も含まれている。これはもう、大成功と胸を張って言えるほどの成果である。

海底に受信器を設置中。(写真提供:Tre' Packard)
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 では、どんなデータがいつごろ得られるだろう。そしてそこから何がわかるのだろう。

 海底に設置した受信器は、1年間そのままにし、来年の8月に回収する。回収した受信器からデータを読み込めば、神子元島周辺におけるサメの詳細な行動パターンがわかるはずだ。

 とりわけ私が気になっているのは、シュモクザメの夜の行動パターンだ。毎日のように潜水しているダイビングショップの人たちでさえも、不思議なことに、シュモクザメがエサを捕る様子は一度も見たことがないという。

 ひょっとしたら、シュモクザメは昼間は神子元島周辺で群れているものの、夜になるとどこか別の場所へ移動し、エサをとっているのかもしれない。そしてまた翌朝、何かしらの理由のために神子元島の周辺に戻ってくるのかもしれない。そのような仮説が、来年の今頃、きっと検証できているだろう。

 そしてもっと楽しみなのは、2匹のサメに取り付けた人工衛星発信器の結果である。人工衛星発信器は6カ月後に自動で切り離されて海面に浮かび、人工衛星経由でサメの居場所を知らせてくれる。6カ月後にサメはいったいどこにいるのだろう? じつは私は、とびきり面白い仮説を持っている。

悪天候の日もあった。波間に揺れる漁船「音丸」。(写真提供:Tre' Packard)
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