第8回 神子元島のシュモクザメの調査は大成功

 がんばりました! 研究者としてというより、旅の添乗員として。

 8月13日、調査機材やダイビング機材のぎっしりつまった巨大なバッグを抱えた海外の研究者やメディア関係者が、次々と成田空港に降り立った。私は最も遅い時刻に来日したヤニスを空港で出迎え、都内のホテルまで案内する。

 翌日、渋谷の居酒屋で顔合わせをし、人数を数えてみると、私自身を含めて8人しかいない。あれ? 9人のはずなのに、と私が怪訝そうにしていると、ハワイからやってきたトレが何事もなさそうに言う。

「うちのワイフが来たがってたんだけど、用事があって来れなくなったんだ。とってもシェイム――」

(……早く言えよ! 列車も民宿も9人で予約してあるんだから)――喉元まで出かかった言葉をぐっと飲み込んで、我慢強い旅の添乗員は、ニカッと笑顔を見せる。

「オッケー! ノープロブレム」

 翌朝、東京駅で全員が集合する前に、慌てて「みどりの窓口」に駆け込み、1人分のチケットを払い戻す。その後、大混雑したお盆の東京駅の構内で、大量の荷物を抱えた7人の外国人集団を制御し、誘導する。なんとか予定通りの特急「踊り子」に乗せることに成功し、心の中でガッツポーズ。本当のことをいえば、乗車前に各自弁当を買ってもらう予定であったが、難易度が高すぎると悟ってあきらめた。

 ともあれ、列車に乗り込んでしまえば一安心。発車予定時刻きっかりに、「踊り子」はゆるゆると加速し始めると、あれよあれよという間に都内の喧騒を抜け、郊外の住宅地を過ぎ、トンネルをいくつかくぐって、青く光る太平洋の沿岸に沿ってはしっていく。

 3時間ほどで伊豆半島の南端、終点の伊豆急下田駅に到着した。駅前のタクシー乗り場で連続したタクシーを3台つかまえると、7人の外国人集団と大量の荷物を無茶苦茶にして詰め込み、南伊豆町の弓ヶ浜まではしってもらう。

 そしてついに到着。海水浴客で賑わう弓ヶ浜の先にぽっかりと浮かぶ、小さな無人島こそが、今回の調査地であり、日本が誇る世界有数のサメスポットでもある神子元島(みこもとじま)だ。

神子元島周りのシュモクザメの群れ。(写真提供:神子元ハンマーズ)
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