第7回 世界が注目!神子元島のシュモクザメ

(写真提供:神子元ハンマーズ)
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 ヤニスの人生は10歳のある日、ロンドン郊外の自宅で映画『ジョーズ』を見た瞬間に決定付けられたといっていい。

 サメの魅力にとりつかれたのである。大きくて、獰猛で、何よりもぶっちぎりに格好いいサメという生物に夢中になった。映像を見ているだけで心が躍ったし、サメのことをもっともっと知りたいと思った。もちろん他にも楽しいこと、心惹かれることはいろいろあったけれど、サメだけはまるで運命のような、揺るぎのない特別な存在になった。

 それから28年の歳月が流れた現在、彼はイギリスのセントアンドリュース大学で生物学者をしている。言うまでもなく研究の対象はサメだ。ハワイのイタチザメ、メキシコのホホジロザメ、アラスカのネズミザメにバハマのヨゴレ――世界中の海でダイビングをし、あるいはサメを釣り上げ、発信器を取り付けてサメの行動を調べる研究をしている。サメのためならどこへでも行くし、サメのことならどんなことでも知りたい。少年の頃から変わらぬ好奇心を胸に抱いたまま、世界的に名の知れたサメの研究者になった。

 そんなヤニスがもうすぐ、8名のアメリカやイギリスのサメの研究者を引き連れて来日する。日本が誇るサメスポット、伊豆は神子元島(みこもとじま)に出没するシュモクザメの大集団を私とともに研究するためだ。

 神子元島は伊豆半島の最南端、下田市と南伊豆町の境界あたりの沖合にぽっかり浮かぶ小さな岩礁の無人島だ。一般的な意味ではそれほど知られていないこの島は、じつは世界中のサメファン、ダイビングファンの憧れるシュモクザメ(目が左右に飛び出した、あの奇妙な風貌のサメだ)の出現スポットである。現地にはシュモクザメを見せるためのダイビングショップがいくつかあって、夏のちょうど今の時期にスキューバダイビングで潜れば、青い海を背景にしてシュモクザメの大群がゆらゆらと泳ぐ、圧倒的な光景を目にすることができる。

(写真提供:神子元ハンマーズ)
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