第3回 マグロとホホジロザメに共通する進化の秘密を発見!

自ら調査したホホジロザメ。ヒレに付いているのがデータロガーだ。(撮影:渡辺佑基)
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 研究者をしていて一番うれしいのは、自分の書いた論文が科学雑誌に掲載されたときだ。それは体を張って集めたデータ、頭の痛かった統計解析、苦吟を重ねた英文が、ついに実を結んだ瞬間である。少し大げさに言えば、私の頭の中だけにあったものが人類共通の知見に昇華した瞬間である。

 私の最新の論文が本日、『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載された。『PNAS』といえば私の研究分野では(というよりほとんどの研究分野において)、『Nature』、『Science』に次ぐ地位を占める堂々たる東の大関だ。このクラスの科学雑誌に論文が掲載されると、世界中のおびただしい研究者や科学ジャーナリストに読まれ、したがってその科学的な成果が広く認知される。しかしその分、論文掲載をめぐる競争の熾烈さといったら、ほとんどの原稿はろくすっぽ審査されることなく門前払いされるほどだ。一部のトップ研究者はさておき、私程度の研究者にとってはこれらの有名科学雑誌は「いつかは」と仰ぎ見るような存在であり、だから今回の『PNAS』論文掲載は、はっきり言ってめちゃめちゃうれしい。

 そこで今回は、前回の前フリはどこかへうっちゃって、論文の内容を紹介させてもらおう。私は普段は冷静沈着、沈思黙考の紳士だが(違うかな?)、こと論文の話になると、つい熱くなってしまう。とりわけ今回の論文は思い入れの強い、超の付く労作なので、熱くなり過ぎてしまったらごめんなさい。

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