第1回 ドラマチックなモノクロ写真

「ライオンを見張って」(チャーリー・ハミルトン・ジェームズ、2012年)

 気鋭の若手写真家、チャーリー・ハミルトン・ジェームズによるモノクロ写真(赤外線写真)の傑作です。まず、左右対称に並ぶチーターをとらえた構図が素敵です。岩の上に座る2頭は、ライオンの群れを見つめています。しかし、それ以上にすごいのは光のとらえ方でしょう。この写真を撮影したのは真昼でした。この時間帯は頭上から光が当たるため、一般的には撮影には向いていない時間帯とされているのですが、赤外線で撮影することで平板になりがちな構図がドラマチックな光景に一変しました。特にチーターが座っている、岩肌の質感には驚くばかりです。

 動物をこのようなモノクロで撮影する写真家は、もともとあまりいませんでした。『ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー』でも、1977年にモノクロ写真部門が設けられたのですが、当初の応募点数はごくわずかだったといいます。ところが、一部の写真家がモノクロ写真の可能性に注目し、90年代になると応募が徐々に増えていきます。さらにデジタル写真が浸透し、画像処理ツールが普及すると、モノクロ写真は動物写真の表現手段として定着するに至りました。この写真は、モノクロ写真のすごさを再認識させてくれる1枚です。

世界一の動物写真

イギリスで50年続く、世界最高峰の写真賞
『ワイルドライフフォトグラファー・オブ・ザ・イヤー』
受賞作品でたどるネイチャーフォトの全記録!

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