ルアウとは、子どもの誕生日(とくに1歳)や結婚式などのお祝いに催されるハワイ伝統の宴こと。ここで出される伝統料理は人種に関係なくみんな食べるのだという。その中で最もよく食べられている料理を問うと、リョウジさんは「私の一番好きな伝統料理です」と言って、それを出してくれた。

「ラウラウです」

 見た目も大きさも和歌山県と三重県にまたがる熊野地方などの郷土料理「めはり寿司」のようだった。あるいはロールキャベツか、何かが葉のようなものに包まれている。「中には何が入っているんですか?」と問うと、「まずは食べてみてください」とリョウジさん。そこでラウラウにナイフを入れるとジュワーッと汁があふれ出た。これは食欲をそそられる。

 口に入れると、まず広がったのは旨みたっぷりの肉汁。包まれていたのは豚肉のようだ。葉の中にぎっしりとつまっていて噛み応えもある。葉はやわらかくて茶葉のような風味。独特な甘みが肉の味に変化を添える……って、これ豚肉だけじゃないぞ。なにか白い身が入っている。塩気くらいしかないシンプルな味付けなのに、噛むほどに複雑な味わいになっていく。

「豚の肉と脂、鶏肉、鱈の身をタロイモの葉で一緒に包んで蒸したものです」とリョウジさん。なんと、肉が2種類に魚まで入っていた。「宴の料理だけあって贅沢ですね」とほおばりながら言うと、「いやいや」とリョウジさんは首を振る。「このスタイルは食材が豊かになってからのこと。昔のラウラウは魚だけだったんですよ。ハワイには家畜がいませんでしたから」

ラウラウに葉を用いるタロイモはハワイの主要作物。かつてはタロイモをすりつぶしてペースト状にしたポイを主食としていた
ラウラウとはハワイの言葉で「包む」という意味。リョウジさんは、ハワイにいた頃は週に1回くらい食べていたという

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