第40回 ハワイの伝統料理「ラウラウ」を食べてみた
火山活動によって形成されたハワイに人類が住むようになったのは、諸説あるものの約1500年前とされる。トンガやサモアなどに暮らすポリネシア系の人たちが移住してきたのだ。人びとは魚や鳥を獲り、タロイモやバナナなどを栽培して食していた。「ハワイに住む人が最初に食べた家畜は犬だと言われています。犬や豚はアジアなどからポリネシア、そしてハワイへと伝わってきたのです」とリョウジさんは話す。
「だから、最初は階級の高い者しか食べられないような貴重なものでした。ハワイではイムで料理をつくるのが伝統ですが、できたものはまず階級の高い者が食べ、残ったものを庶民が食べるので、豚肉などの貴重な食べ物には一般人はなかなかありつけなかったそうです」
イムとは地面に穴を掘ってつくる土窯だ。底に熱した石を敷いて食材を入れ、バナナの葉などでフタをして蒸し焼きにする。ラウラウもタロイモの葉を巻いたあとに、さらにティ(和名はセンネンボク)の葉で包んでイムで蒸し焼きにするのが本来のつくり方だという。
「電気がなかった時代の伝統的な調理法です。ラウラウだけではなく、伝統料理の多くはイムでつくったし、いまでもルアウの時にはイムで調理します。とくに、カルアピッグは最高ですね」
なんだなんだ、最高の料理とは気になるではないか。カルアピッグとは「蒸し焼きの豚」という意味。豚のお腹から内臓を取り出して塩を塗りこみ、熱した石を詰めて一頭丸ごとバナナの葉で包む。それをイムで一日かけて蒸し焼きにするという。お祝いの席にぴったりの豪快な料理だ。カルアピッグも店にあるというので食べさせてもらうことにした。
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