米国ネブラスカ州のリンカーン児童動物園で撮影したフタユビナマケモノ(Photograph by Joel Sartore)

 樹上にすむナマケモノは、地球上で最も動きが遅い哺乳類だと一般に考えられている。1日に数メートルしか動かないことも多く、最大20時間も眠る。代謝は遅く、木から降りて排便するのは週に1回程度。食事や睡眠、出産や交尾も、木から逆さまにぶら下がったまま行う。

 米国ボルチモアの国立水族館では、これまでに赤ちゃんが4匹誕生しているが、館長のケン・ハウエルによれば、出産や交尾の場面を職員は誰も見たことがないという。ナマケモノはプライバシーを重視し、人目を忍んで「あっという間に交尾を終えるのでは」とハウエルは話す。

 一方、米国の動物救護団体アニマル・マジックのマーク・ロゼンサールは、「保護した2匹のナマケモノが交尾する、めったにない動画」を撮影した。彼の途切れ途切れのナレーションを聞くと、何ともじれったい。「雄が求め続ける・・・雌が・・・受け入れるか・・・みなさん、辛抱強く見守りましょう。何といってもナマケモノですから」

 子どもも視聴するため、彼は交尾の直前で終了するように動画を編集した。交尾そのものは、木の枝にぶら下がりながら「逆さまの状態で、わりと早く終わった」という。

米国ミシガン州の動物救護団体アニマル・マジックのマーク・ロゼンサールがスマホで撮影した。

※本コラム「BASIC INSTINCTS 生命をつなぐ」は、月刊誌『ナショナル ジオグラフィック日本版』に毎月掲載しています。

文=Patricia Edmonds