第17回 金縛り対策-特に明け方の二度寝にご用心
レム睡眠は睡眠時間全体の約1/4を占める。6~7時間睡眠であれば1晩に80~100分ほどのレム睡眠がでる。最初のレム睡眠は寝付いてから60-120分で出現し、以後平均して約90分周期で一晩に3~5回出現する。1回あたりのレム睡眠は平均で20分ほどだが、体内時計の指令で明け方になるにしたがって長くなり、1時間ほど続くこともある。休日の早朝に二度寝をすると夢をよく見るのもこのレム睡眠の特徴的な時間分布による。
寝入りばなにウトウト状態でレム睡眠に突入すると金縛りが起こりやすい。例えば、脳波を測定しながら実験室内で被験者を寝かせ、明け方に長いレム睡眠が出る前に強制的に起こしてから二度寝をさせると毎回ではないが金縛り体験が起こりやすいことが知られている。眠りが浅いためレム睡眠中の脱力を自覚してしまうのだ。
実験で無理矢理起こすのではなく、レム睡眠中に自然に目覚めてしまうのはどういう時だろうか。寝入りばなは眠りが浅いが先にも書いたように普段は入眠直後にレム睡眠が出現することはない。第1回目や2回目のレム睡眠のときはまだまだ眠り(ノンレム睡眠)が深くて目覚めにくいほか、レム睡眠自体が短い。
しかし、たとえばストレスによる浅い眠りや不規則生活などで明け方に覚醒したときに、まだ外は暗いからと二度寝をしようとすると睡眠が深まらないままにレム睡眠に突入してしまうことがある。レム睡眠もかなり長い時間帯でもある。半覚醒のままレム睡眠に入ってしまうともう体は動かない。「金縛りの術」に嵌まってしまう。不規則な睡眠習慣のあなた、昼夜逆転気味のあなた、睡眠分断法とか怪しげな寝方をしているあなた、最近金縛りしてませんか?
「睡眠の都市伝説を斬る」最新記事
バックナンバー一覧へ- 第136回 目覚めに混乱や絶叫など、大人でも意外と多い「覚醒障害」
- 第135回 年を取ってからの長すぎる昼寝は認知症の兆候の可能性
- 第134回 睡眠中に心拍数や血圧、体温が乱高下する「自律神経の嵐」とは
- 第133回 朝起きられないその不登校は「睡眠障害」?「気持ちの問題」?
- 第132回 「睡眠儀式」が子どもの寝かしつけに効くワケ
- 第131回 左脳は「夜の見張り番」、“枕が変わると眠れない”わけ
- 第130回 局所睡眠:実はよく使う場所ほど深く眠っている脳
- 第129回 睡眠を妨げる夜の頻尿、悪循環しがちな理由と対処法
- 第128回 「起きるか眠るか」のせめぎ合い、どのように軍配が上がる?
- 第127回 うつが「夜型生活」の避けがたいリスクである理由