デトロイト自動車ショー、5つのエネルギー革新

燃費向上を約束する新車や新技術が続々デビュー

2015.01.26
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シボレーは複数の電気自動車モデルを発表。写真はプラグインハイブリッドVoltの軽量版。新発表のBolt(Voltではない)は、競合車よりも航続距離が長いのが特徴。(PHOTOGRAPH BY BILL PUGLIANO, GETTY)

 米国デトロイトで開催された北米国際自動車ショーでは、軽量、自動運転、長い航続距離などを特徴とする自動車に注目が集まった。

 自動車業界は、エネルギー革新の真っただ中にいるようだ。電気自動車の航続距離は200マイル(322km)を超えた。軽量化素材で作られたトラックは、燃費を大幅に改善する。自動運転も、確実に進歩を続けている。米国では6年ぶりのガソリン安を記録しているが、世界で進む燃費改善の波は、もはや留まるところを知らない。

 この華やかなショーに参加しているのは、古くからの自動車メーカー各社と、カリフォルニア州の電気自動車メーカー「テスラモータース」だ。2年ぶりにショーに登場したテスラのイーロン・マスクCEOは、「モデル3」と「モデルX SUV」の投入により、2020年までに年間販売台数50万台を目指すと述べた。なお、現行のラグジュアリーモデルである「モデルSセダン」の販売台数は、年間3万5000台弱である。

 電気自動車は、もはや新興企業やアウトサイダーの独占領域ではない。米国最大手のGMも、EV市場の拡大を視野に入れている。GMは2017年にも、ハッチバックタイプの新型電気自動車「シボレーBolt」の生産を開始すると発表した。これは、同価格帯のテスラ「モデル3」の発売予想時期と一致する。Boltの販売価格は3万ドルの予定。

 以下に、デトロイトオートショーで注目すべきイノベーションを紹介する。これらの技術は、未来のエネルギー需要を一変させる可能性を秘めている。

1. 燃費向上とプラグインの実用性向上をめぐる争い

 外見の派手さとファンタジーが重視されるイベントとはいえ、やはり中身も重要。特に、フォードのエンジン技術「EcoBoost」は、ターボチャージャーと燃料直接噴射を組み合わせることで燃費向上を実現している。同技術は、今年北米で発売されるすべての自動車とトラックに搭載される予定。

 一方GMは、プラグインハイブリッド「シボレーVolt」の車両重量を約91kg軽量化した。そのかいあって、新型Voltは、EV走行時の航続距離を30%(約80km)も延ばしている。

フォードの人気トラックF150は、軽いアルミシャシーの採用により燃費向上を図っている。(PHOTOGRAPH BY SCOTT OLSON, GETTY)

2. 電気自動車の低価格化と航続距離向上

 GMは、200マイルの航続距離を誇る新型電気自動車「シボレーBolt」を発表した。業界ウォッチャーは、比較的低価格なBoltの投入により、テスラとの競争が激化し、EVがメインストリームになる日も近いと予測している。

 テスラのマスクCEOは、「私はBoltを脅威とは見ていません。すべての自動車が電気自動車になると考えているからです」と述べ、Boltのコンセプトを歓迎した。テスラのモデル3計画は、現在同社が50億ドルを投じて建設中のバッテリー工場「ギガファクトリー」の成功にかかっている。「これが失敗したら、私は絶対クビでしょうね」と同CEOは述べた。

3. アルミニウムの試練

 さらば鉄、ようこそアルミ――少なくとも、好調のピックアップトラック「F-150」ではそれが現実になりそうだ。フォードは、新型F-150のボディから鉄を廃し、アルミを採用した。これにより、約318kgもの軽量化に成功し、11.1km/lの燃費を実現した。一方で、コストの増加やピックアップトラックが持つ力強さのイメージとの対立という懸念もある。

 F-150は北米トラック・オブ・ザ・イヤーを獲得したが、フォードはアルミを全ラインナップに採用する可能性は低いという。同社のジョー・ハインリヒ社長は、「軽量化で得られる大きなメリットのひとつに、けん引能力・最大積載量の増加があります。トラックの購入者は、積載量にお金を払うのです。乗用車の場合、購入者は燃費にお金を払いますが、積載容量を増やす必要はありません」と述べている。

4. 自動運転の実現に向けて

 事故削減と燃費向上を約束する完全自動運転がメインストリームになるのはまだ先の話だが、デトロイトでは、各社こぞって最新技術を発表している。

 GMは、2016年の「キャデラックセダン」には、走行車線の維持とブレーキ・アクセルの自動化を行うシステムを導入すると発表した。2017年までには、速度情報や位置情報を他の自動車と通信するモデルを発表する計画。

 メルセデスベンツは、車輪のついた高級ラウンジとも呼べそうな自動運転車を発表し、さらに長期的なビジョンを示した。米国陸軍は自動運転シャトル「Aribo」を、中国の広州汽車集団は自律型電気自動車のコンセプトカー「Witstar」をそれぞれ発表している。

水素の夢を追いつづけるホンダが発表した燃料電池車(FCV)のコンセプトカー。来年、日本で発売予定だ。(PHOTOGRAPH BY RICHARD LAUTENS, TORONTO STAR/GETTY)

5. 燃料電池車もアクセル全開

 燃料電池車(FCV)は、まだ発売されていないものの、自動車メーカー各社が実現に向けた取り組みを続けている。

 ホンダは、最新の5人乗りFCVコンセプトカーを発表した。一般的な補給ステーション(まだほとんど存在しない)の圧力で、3分間で水素補給が可能。航続距離は、同社の旧モデルの240マイル(386km)から300マイル(483km)まで向上している。ホンダは来年にも、日本での発売を予定している。

文=Josie Garthwaite/訳=堀込泰三

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