1月13日、NASAの宇宙探査機ドーンはケレスにわずか38万3000キロまで接近した。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH)

 二つの小さな天体、ケレスと冥王星にNASAの宇宙探査機が初めて接近する。今年、準惑星が注目の的になりそうだ。

 1月19日、NASAは探査機ドーンが撮影した、小惑星帯にある準惑星ケレスの画像を公開した。そこには、これまで知られていなかったクレーターの痕跡が写っていた。また、探査機ニューホライズンズは、ケレスから数十億キロ先のはるかな氷の領域に浮かぶ、かつて惑星とされた冥王星を探査する。

 これら二つの天体は、惑星の基準をわずかに満たしていないため、準惑星と呼ばれる。準惑星は科学者らもまだ多くを知らない天体群だ。ミッションが計画通りに運べば、これまでの状況は大きく変わるだろう。

 探査機ニューホライズンズは、7月に冥王星に最接近する予定だ。探査計画のチーフ、アラン・スターン氏は「巨大ガス惑星と地球型惑星すべてを合わせたよりも、多くの数の準惑星とその候補が存在します」と説明する。準惑星は太陽系誕生時の痕跡を残している可能性がある。太陽系が形成される初期の状態から変化したとされる巨大ガス惑星や地球型惑星と異なり、ケレスや冥王星などの準惑星には、その地形や軌道に太陽系誕生時の記録が刻み込まれているとみられる。

 カリフォルニア工科大学の天文学者、マイク・ブラウン氏は「準惑星は難破船のがれきのようなものです。残骸を眺めるだけでは何が起こったのかを知ることはできませんが、どこから流されて来たのか、どのように流れて来たのかはわかります」と述べている。

探査機ドーンのとらえた白い部分は、ケレスの凍った表面に開いた大きなクレーターだと見られる。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH)

湿った天体ケレスに接近

 3月初め、探査機ドーンはケレスの軌道内に侵入する。ドーンにとってケレスは2番目の目的地だ。最初に接近した天体は、大質量の小惑星ベスタ。ベスタは乾燥したほこりっぽい天体で、ドーンはここに2011年から14カ月滞在し、地図の作成や観測を行った。

 同機は数週間のうちに、ハッブル宇宙望遠鏡を上回る解像度で画像を撮影できる距離までケレスに接近する見込みだ。ケレスは直径わずか950キロと、月の約3分の1の大きさしかないため、鮮明な画像を得るためにはかなり接近する必要がある。ハッブル望遠鏡などの高性能の望遠鏡は、銀河のように大きな天体の迫力ある画像を撮影することができるが、小さな天体を細部まで撮影するには解像度が十分でない。

 1801年にイタリアの神父、ジュゼッペ・ピアッツィが発見したケレスは、200年以上にわたり謎に包まれた天体だった。水蒸気を含む大きな湿った天体と考えられていて、火星と木星の間の小惑星帯にあるどんな天体とも似ていない。

 ケレスだけで小惑星帯の総質量の30%以上を占める。この準惑星が周辺のほかの天体と大きく異なる理由を解明するため、ベスタの探査を終えたドーンがケレスに向かう。

 「ケレスはうまく姿を隠しています」と述べるのはカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者でドーン探査ミッションのチーフ、クリストファー・ラッセル氏。ベスタの破片は隕石(いんせき)として地球に落ちてきているが、ケレスがどんな天体かを知る手がかりとなる破片は見つかっていない。「ケレスが太陽系形成の初期にどのような役割を果たしたのか、なぜほかの天体と違うのかを解明したいと思います」と同氏は述べた。

氷の天体に接近

 一方、7月14日、探査機ニューホライズンズは冥王星とその巨大な衛星に最接近する。

 2006年に打ち上げられたニューホライズンズは、遠く離れた赤みを帯びた冥王星を接近観測する初の探査機となる。およそ85年前、カンザス州の少年クライド・トンボーが発見した冥王星は、意外な観測結果で天文学者たちを驚かせ続けてきた。

 これまでに撮影された冥王星の画像はいずれも不鮮明だ。40天文単位(地球から太陽までの平均距離の40倍)もの距離にあるため、詳細な観測が難しい。探査機のなかで最高飛行速度を誇るニューホライズンズでさえ、冥王星に到達するのに10年近くかかっている。

 科学者らは、冥王星についていくつかの推測をしている。これまでの観察から、冥王星の表面はダイナミックに変化していて、異なる明るさや色のまだら模様となっていると示唆されている。氷が噴火しているという証拠も見つかるのではと考える科学者もいる。

 間違いなく言えるのは、この直径約2300キロの太陽系外縁天体から、多くの驚きがもたらされるだろうということだ。

 ニューホライズンズが冥王星へ接近し、データ収集を開始した今、天文学者らは冥王星と氷のカイパーベルトの謎の解明に一歩ずつ近づいている。カイパーベルトは、無数の彗星や冥王星のような天体、そして太陽系形成期に残された残骸が密集する領域だ。

史上最高速度の探査機、ニューホライズンズは2015年7月に冥王星に最接近する。(ILLUSTRATION BY NASA/JHU APL/SWRI/STEVE GRIBBEN)

ケレスと冥王星の意外な関係

 数十億キロも離れているケレスと冥王星だが、この二つはともに冥王星が現在位置するカイパーベルトの中で誕生したと考える科学者もいる。

 セントルイスにあるワシントン大学の惑星研究者、ウィリアム・マッキノン氏は「観測の結果、ケレスはカイパーベルトにある天体とよく似ていることがわかっています。密度が同じなのです。しかし、ケレスがどこから来たのかはわかりません。小惑星帯にケレスのような天体が生まれるほど多くの氷がかつて存在していたのかも、明らかではありません」と述べた。

 ケレスは丸く、氷の層を持ち、内部が層状になっている点で、周辺のほかの小惑星よりもむしろ冥王星に似ているのだ。

 「太陽系の外縁部から来たのではないかと考えられます」とブラウン氏は述べる。もしケレスがカイパーベルトで誕生したのだとすれば、太陽系形成初期に惑星が大移動した際に内側へ移動し、小惑星帯の現在の軌道に落ち着いた可能性がある。

文=Nadia Drake/訳=キーツマン智香