サイの密猟が過去最高に、南アフリカ

2014年、南アフリカ共和国では1200頭以上のサイが密猟で命を奪われた。

2015.01.27
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追跡用のマイクロチップを装着するため、警備隊に麻酔銃を撃たれたサイ。2014年11月、南アフリカのクルーガー国立公園で撮影。(Photograph By Foto24,Gallo Images/Getty)

 野生のサイは、その大半が南アフリカ共和国に生息する。南アフリカ政府は、2015年1月22日、2014年はサイの密猟が過去最高になったことを発表した。南アフリカ環境省によれば、2013年の1004頭よりも21%多い、1215頭のサイが命を奪われたという。

 世界自然保護基金(WWF)種の保全プログラムに取り組む「アフリカの種」の専門家マシュー・ルイスは、「ここ数年のペースで密猟が増加すれば、サイは10~20年で絶滅するでしょう」と警鐘を鳴らす。

 密猟を後押しするのはベトナム、中国をはじめとするアジアでの角の需要だ。アジアの国では、一部の人たちが、主にケラチンから成るサイの角がさまざまな病気を治すと信じている(これに対して欧米の科学者たちは異論を唱えている)。

 南アフリカでは毎年、生息数の約6%に相当するサイが密猟されている。この数字は出生率と同程度だとルイス氏は説明する。つまり、さらに密猟が増加すれば、生息数が激減して絶滅へと向かう恐れがあるのだ。

 南アフリカには1万8000頭のシロサイと1700~1800頭のクロサイがいる。2014年に密猟された1215頭の内訳は明らかにされていないが、ルイス氏によれば、過去の研究では90%以上がシロサイだったという。体が大きいシロサイは生息数が多く、広々とした草原で過ごす時間も長いため、密猟の標的になりやすいのだ。

 南アフリカ以外のアフリカ諸国には、約2万6000頭のサイが生息すると見られているが、密猟の脅威にさらされているのは南アフリカと同じだ。

密猟のホットスポット

 2014年に南アフリカで密猟によって殺されたサイの3分の2近くは、国内のサイの大部分が暮らすクルーガー国立公園で犠牲になった。クルーガー国立公園は1万9485平方キロの面積を誇る世界最大級の国立公園で、米国のコネティカット州より広い。南アフリカの北東部に位置し、最貧国の一つに数えられるモザンビークと国境を接する。隣国から侵入するのは容易だ。「国境から忍び込み、密猟すれば、一晩で大金を手にすることができます」とルイス氏は話す。

 サイの密猟が急増したのは2007年以降だ。それまでは南アフリカでも年間10~15頭程度だった密猟がいっきに増えた。その原因は闇市場でサイの角の取引価格が上昇していること(約450グラム当たり3万ドル(約350万円)。これはコカインの末端価格と同等)。ルイス氏は「東アジアの人々が豊かになったことも一因だ」と説明する。サイの体の一部を取引することは国際協定で禁じられているが、多くの国で十分に取り締まりが行われていない。この2~3年、密猟は落ち着き、横ばいになっていた。

 南アフリカのエドナ・モレワ環境相は22日、「密猟の前年比は2012年から緩やかになっています」と述べた。「それでも、憂慮すべき数字であることに変わりはありません」と続けた。

文=Brian Clark Howard/訳=米井香織

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