19日、モンタナ州クレーンに近いイエローストーン川で、氷に穴をあけて清掃にあたる作業員たち。17日に、パイプラインから19万リットルの原油が流出した。(Photograph by Matthew Brown, Associated Press)

 2015年1月17日、イエローストーン川で原油流出事故が発生、過去4年間で2度目の、大規模な事故となった。これを受けて、モンタナ州東部のグレンダイブ市の住民たちへ飲料水が届けられた。イエローストーン国立公園は、流出現場よりさらに560キロほど上流に行った場所にあるため、影響を受けることはないと見られている。

 地元の浄水場で行われた水質検査の中間結果によると、流出した原油の一部は川に設置された取水口へ入り込んだという。ここから供給される水道水は、グレンダイブの住民6000人が利用する。採取されたサンプルを分析したところ、揮発性有機化合物、主にベンゼンのレベルが上昇しており、蛇口から出る水道水の臭気の原因はこれだろうと、浄水場の担当者は説明した。人体への影響を推定するには、検査の完了を待たなければならない。

 事故を起こしたパイプラインを所有するのは、トゥルー社の子会社でワイオミング州を拠点とするブリッジャー・パイプライン社。その広報担当のビル・サルビン氏は、「川の複数の地点でさらにサンプルを採取する予定です。また、グレンダイブへの飲料水の運搬は1週間は続ける予定です」と話した。

 17日の同社発表によると、事故が起きたのは、モンタナ州とノースダコタ州のバッケン・シェール油田で生産された原油を運ぶポプラ・パイプラインで、そこに発生した亀裂から最高で約19万リットルの原油が流出した。

「イエローストーン国立公園への影響はまずないと言っていいでしょう」と、サルビン氏は付け加えた。公園は流出現場の南西に位置し、全長1114キロメートルのイエローストーン川は公園から北へ向かって流れ、モンタナ州を通り、ノースダコタ州へと入っていく。

 今回の流出直後に行われた最初の水質検査では、石油の成分は検出されなかったが、間もなく住民達は水道水からいつもと違う臭いがすると訴え出した。そのため、町の浄水場は19日、住民に対して水道水を使わないよう警告を発した。

 ブリッジャー・パイプライン社によると、グレンダイブから上流へ8キロほどさかのぼった地点で、30センチのスチールパイプに亀裂が発生したという。グレンダイブは農業を中心とした町で、ノースダコタ州との州境に近いモンタナ州東部のなかほどに位置する。環境保護庁(EPA)によると、現場から97キロ下流のシドニー付近でも油膜が目撃された。

1997年のイエローストーン川の様子。ここからほど近い場所で2011年には24万リットルの原油が川へ流出した。(Photograph by Annie Griffiths, National Geographic Creative)

 EPAは、19日夜に声明を発表し、流出した量が深刻であるとして、「下流に住む住民の飲料水や農業用水、野生生物に影響を及ぼすだろう」と懸念を表した。EPAは、ブリッジャー社、地元自治体、州関係者、米国魚類野生生物局、運輸省と連携して、被害拡大の防止に努めるとしている。作業員たちは、流出現場から下流約48キロのモンタナ州シドニーで、川にオイルフェンスを設置した。

 川は場所によっては凍結しているため、清掃作業は難航している。EPAの現場コーディネーターであるポール・ペロナード氏はCBSニュースの取材に対し、「回収作業は大変厳しい環境の下で行われています」と話した。作業員らは、氷に穴をあけて油を回収している。「通常なら、少なくとも目で見えるし、そうでなくても臭いでわかります。しかし、今は油まで氷をかき分けて探さなければならない状況です」

 ポプラ・パイプラインは、カナダからモンタナ州ベーカーまで走り、バッケン油田で生産された原油を運んでいる。作業員らが流出地点のパイプ内から原油をポンプでくみ出している間、パイプラインは閉鎖された。運輸省のパイプライン・有害性物質安全局(PHMSA)が調査員を現地へ派遣しており、同局からの許可が下りなければ、運転は再開できない。

 2011年に同じくイエローストーン川へ流出事故が発生した時、エクソンモービルは、鳥や魚、その他の自然資源への損害として州および連邦政府から最高340万ドルの罰金を科された。また同社は、1億3500万ドルを清掃費用に費やしたとしている。

 EPAによると、石油流出事故は年間1万4000件に上るが、その多くは規模が小さく、事故を起こした企業が単独で清掃を行う程度で済んでいる。

文=Wendy Koch