気温とシマウマの縞模様の意外な関係

「暑い地域にすむシマウマほど縞が多い」とする研究が発表

2015.01.20
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アフリカでよく見られるサバンナシマウマ。(Photograph by Karine Aigner, National Geographic)

 ヒョウの毛皮の模様が変わるという話は聞かない。ところが、シマウマの中には縞模様を変化させるものがある。最新の研究で、暑い地域にすむシマウマほど、縞の数が多いことがわかった。これは、シマウマになぜ縞模様があるのかという謎を解明する手がかりとなるかもしれない。

 この研究が発表されたのは2015年1月13日付けの 「Royal Society Open Science」誌。シマウマの縞模様には体温を低く保つ効果があり、虫を寄せつけない。その結果、虫が媒介する高温地域に多い病原菌が感染するのを防いでいるのではないか、というのだ。

 シマウマは3種がいるが、いずれも太い黒と白の縞がある。アフリカスイギュウやオリックスなど色合いが単調なほかの草食動物と比べて目立つ。サバンナの景色の中でもシマウマは目立つので、ライオンの餌食になりやすい。

 シマウマの縞模様の謎は100年以上もの間、ダーウィンを含め、科学者らを悩ませてきた。シマウマに縞模様がある理由には、
1.虫を寄せつけないため
2.目の錯覚を利用してカムフラージュするため
3.捕食者を惑わすため
4.体温を下げるため
5.個体同士の識別のため
の五つの仮説がある。

多様な模様

 今回、エチオピアから南アフリカまで広範囲に数多く生息するサバンナシマウマを分析した結果、上記五つの仮説の中から真説を決定づける成果はなかった。ただ、気温と縞模様の間には高い関連があることは明らかになった。 気温が高ければ高いほど、シマウマの縞の数が多くなるというのだ。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の生物学者、ブレンダ・ラリソン氏の研究チームは、アフリカ大陸の16のシマウマ個体群について縞模様のパターンを調査した(この調査はナショナル ジオグラフィック協会の研究・探検委員会が資金を援助している)。

 同チームは、土壌の水分、降雨量、病原体の媒介者となるツェツェバエの有無、ライオンの分布など、29の環境要因を測定し、コンピューターモデルを使ってこれらの要因とシマウマの縞模様のパターンとの関連性を解析した。

 ラリソン氏によれば、これらの要因のうち縞模様との間に特に高い関連性が見られたのが、 その地域の温度の安定度と、1年で一番気温が低い季節の平均気温の二つだった。

 この二つの気温の変数を用いて、今回の研究に含まれていない別のシマウマ集団の縞模様パターンを予測したところ、「縞模様のパターンはかなり正確に予測できる」(ラリソン氏)ことがわかった。

体温を低く保つ効果?

 その一つが「うず冷却 」理論だ。空気がシマウマの体に当たると、熱をよりよく吸収する黒い部分は、白い部分よりも空気の流れが強く速くなる。この対流で小さな空気の渦が起き、シマウマの皮膚を涼しく保つのではないかというのだ。

 このことを裏付けるように、 縞の多いシマウマの体温は同じ地域の縞のない哺乳類と比べて3℃も低いという。

 もう一つの説は、病原体を媒介するサシバエは高温な気候を好むため、縞の数を多くすることで、虫を寄せつけない効果があるのではないかというもの。野外での実験では、サシバエは縞のある皮膚に止まるのを好まないことがわかっている。

 カリフォルニア大学デービス校の生物学研究者、ティム・カーロ氏は「我々の研究でも似た結果が出ています」と言い、後者の説を支持している。カーロ氏の研究結果でも、シマウマの縞模様が理由でサシバエが寄りつなかいことが示唆されている。 「ウマバエが媒介する病気にはウマインフルエンザなど重い病気が多く、高温多湿な地域では特に感染の危険が高くなると考えられます」とカーロ氏。

ライオンに捕まりやすい

 今回の発表や、カーロ氏の研究では、シマウマの縞模様と捕食者であるライオンの頭数との間に相関性は認められなかった。 「捕食者の目をくらませるために縞模様があるのだと考える人が多くいますが、それはかえって命取りでしょう」(カーロ氏)

文=Christine Dell'Amore/訳=キーツマン智香

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