手紙に書いた内容は次の通りでした。
オオカミの夢を見てはじまった今回の旅が、自分にとってどれほど素晴らしい旅になったのかということ。
日本から来た、見知らぬ自分と、会う時間を取ってくれたこと。
ウィル・スティーガーを紹介してくれたこと。
写真を見てさまざまなアドバイスをしてくれたこと。
いっしょに過ごした時間で、多くのことを学んだこと。
そのすべてへの感謝。
そして、最後に、これからも、もっともっと自然のことを感じ取れるように、いい写真が撮れるように、努力をしていきたいということ。
ジムは、手紙を読み終えた後、ぼくの方をじっと見て言いました。
「帰国はずいぶん先だと思っていたけれど、飛ぶように時間がすぎたね……心からの手紙をありがとう」
ぼくは自分の伝えたいことがジムにきちんと届いたのを見て、ほっとしました。
そしてさらに、ジムはある提案をしてくれました。
「どうだい……これから撮影にでかけないか?」
願ってもないことだったので、ぼくはすぐに返事をしました。
「もちろんです。どこへ?」
「そうだな……案内したかった場所は、まだたくさんあるのだけれど……」
ジムはすこし考えを巡らせたあと、こう答えました。
「モッキー・ランドはどうだろう?」