第85回 オオカミの気配

 手紙に書いた内容は次の通りでした。

 オオカミの夢を見てはじまった今回の旅が、自分にとってどれほど素晴らしい旅になったのかということ。

 日本から来た、見知らぬ自分と、会う時間を取ってくれたこと。

 ウィル・スティーガーを紹介してくれたこと。

 写真を見てさまざまなアドバイスをしてくれたこと。

 いっしょに過ごした時間で、多くのことを学んだこと。

 そのすべてへの感謝。

 そして、最後に、これからも、もっともっと自然のことを感じ取れるように、いい写真が撮れるように、努力をしていきたいということ。

 ジムは、手紙を読み終えた後、ぼくの方をじっと見て言いました。

「帰国はずいぶん先だと思っていたけれど、飛ぶように時間がすぎたね……心からの手紙をありがとう」

 ぼくは自分の伝えたいことがジムにきちんと届いたのを見て、ほっとしました。

 そしてさらに、ジムはある提案をしてくれました。

「どうだい……これから撮影にでかけないか?」

 願ってもないことだったので、ぼくはすぐに返事をしました。

「もちろんです。どこへ?」

「そうだな……案内したかった場所は、まだたくさんあるのだけれど……」

 ジムはすこし考えを巡らせたあと、こう答えました。

「モッキー・ランドはどうだろう?」