第85回 オオカミの気配

ノースウッズに、オーロラの光が降りそそぐ。マイナス40℃にも冷えこむなか、野生の生き物たちは、いったいどこで夜を明かしているのだろう。(写真クリックで拡大)

 クリフハウスでの滞在も、残すところ、あと2日。

 ジムはすでに撮影の旅から戻っていて、ぼくがイリーを離れる日に、ちょうどグレイハウンドバスのターミナルがあるダルースの町まで帰る知人を見つけてくれていました。

 ミネアポリスまで、誰かに直接送ってもらう選択肢もあったけれど、来るときにイリーまで車に乗せてくれた、ダルースのグレッグには、どうしてもお礼を言ってから帰りたかったのです。

 あのとき、イリーまでの交通手段がなくて困っていたぼくの話を、まじめに聞いてくれた上に、自分の車まで出して助けてくれたグレッグがいなかったら、いまのぼくはありません。

 グレッグのホステルに1泊した後は、そこから再びグレイハウンドバスに乗って、ミネアポリスに向かう予定です。

 ぼくは、いつでも出発できるように、大方の荷物はまとめてありましたが、その日は、夜が更けてもなお、クリフハウスのリビングで、最後の仕事に取り組んでいました。

 その仕事とは、ジムに手紙を書くことでした。

 緊張して、言い忘れてしまうことがあるにちがいないと思って、別れる前に、感謝の気持ちをきちんと伝えるべく、手紙を渡すことにしたのです。